[ 小説 ] × [ 短編集 ] × [ 中高生向け ] × [ 漫画 ]

推奨 吸血鬼の事典
マシュー・バンソン:著/松田和也:訳/青土社

 80年代後半と90年代前半は、吸血鬼ブームが異常に盛り上がった時期であった。映画においても「イノセント・ブラッド」やコッポラの「ドラキュラ」といった大作が目白押し、世界中に存在する「吸血鬼ファン」の人々のための情報事典。
 映画、文学、民間伝承、詩、芸術、医学、宗教、そして喜劇における吸血鬼の詳細な情報をまとめた書。伝統的な吸血鬼の他、心霊的吸血鬼、歴史上の吸血鬼、そしてこの二世紀ほどの間に偉大な作家たちの悪夢の中にのみ登場した吸血鬼までもが収録されている。吸血鬼研究必携の書。



*-*-*-*-吸血鬼案内-*-*-*-*

推奨 ヴァンパイア 吸血鬼伝説の系譜
森野たくみ:著/新紀元社

 Truth in Fantasy 32 ヴァンパイアの能力と各地の例、歴史に現れたヴァンパイア、世界のヴァンパイア、宗教・歴史などから見たヴァンパイアの特性と本質など分かりやすくまとめた解説書。
 Truth in Fantasyの一冊。細かい注釈はありませんが、読みやすいので研究するので無ければこれで十分。以下の文庫を買うのなら、こちらを買ったほうが有益。


吸血鬼伝説
栗原成郎:著/河出書房新社

 『スラヴ吸血鬼伝説考』の文庫版。
世にいう吸血鬼は、ドラキュラよりもはるか昔、スラヴの民衆の生活のなかから生まれた。古代スラヴ人の思考にたちかえって人間の生と死を見るとき死の陰から浮かびあがってくる吸血鬼の存在を、できるかぎりの文献を渉猟し、スラヴ側の直接的資料に依拠しつつ、アニミズム的死生観に起因する夢魔・病魔・人狼信仰との関連において解明する画期的労作。
 スラヴ吸血鬼の解説に、スラヴの夢魔、死神、人狼に関する伝承と説話。著者はロシア文学・スラヴ文献学の教授。吸血鬼の原郷に触れられる数少ない資料の一つ。内容は増補新版から図版を削り、一部補訂したもの。


スラヴ吸血鬼伝説考
栗原成郎:著/河出書房新社

 ドラキュラ以前の吸血鬼の祖型。スラブ民族の心のひだにわけ入り、そのアニミズム的な死生観、人狼信仰などと吸血鬼信仰との関連を考察。フォークロア資料を駆使して、吸血鬼が生まれる原郷世界をたずね歩く。
 初版1979年。1991年に「吸血鬼伝説の現実」「贋吸血鬼の犯罪」「南スラヴ吸血鬼譚管見」の三篇を加えて増補新版として再版されています。


吸血鬼幻想
種村季弘:著/河出文庫

 ドラキュラ伯爵としておなじみの吸血鬼の発生は、人類の出現とともに古く、その分布は広範にわたっている。本書は吸血鬼伝説を広く渉猟して歴史的系譜をたどりながら、文学、芸術、哲学、精神分析学、映画などのさまざまなジャンルにその影を追い求め、魂の陰画としての吸血鬼幻想、戦慄すべき血のエロチシズムの世界を縦横に考察した、吸血鬼研究の先駆的作品である。
 初版は1983年。


種村季弘のラビリントス 吸血鬼幻想
種村季弘:著/青土社

 歴史のほの暗い深淵から、寄辺ない人間の不安を証言する存在として吸血鬼をとらえ、吸血鬼の語源や歴史的系譜をたどり、社会的・宗教的・深層心理的背景を探りつつ、血のエロチシズムを通じて鳥瞰する暗闇の<文化史>
 初版1979年。1970年に薔薇十字社より初版されたものの再販。


知の再発見双書38 吸血鬼伝説
ジャン・マリニー:著/池上俊一:監修/創元社

 ギリシア神話の昔からヨーロッパの深層にうごめく伝説のエッセンスを巧みに昇華することで生まれた吸血鬼伝説。その成立を歴史、宗教、文学、映画、ロンドンで起こった事件など幅広い資料で解明する。
 法理論・合理主義の発展による生と死の分断とそれによる吸血鬼の台頭、それに対する教会の対応や当時の雑誌記事の引用など、表の世界から見た吸血鬼論。全ての吸血鬼・人狼を一緒に扱ってしまっているが、他とは違う視点は興味深く読める。図版も非常に多い。


血のアラベスク 吸血鬼読本
須永朝彦:著/ペヨトル工房

 西洋に点在する吸血鬼伝説、ドラキュラのモデルとなったヴラッド・ツェペッシュ公、文学における種々の吸血鬼や、映画において何度も再生するドラキュラ。虚像のはずの吸血鬼伯爵が、なぜか実像として蘇ってくる。その謎に迫る吸血鬼読本。
 吸血鬼事件からヴラド公、文芸上の吸血鬼までの基本を抑えた資料と言うよりは読み物。ですます調なのは好みの分かれるところか。1978年の増補新版なので目新しくはないが、情報を通して読めるのは良。


吸血鬼 蘇る悪魔の戦慄
桐生操:著/にちぶん文庫

 人々を震撼させた魔物の脅威
 ロシア、セルビア、ハンガリーなど、世界各地で起こった吸血鬼事件から、吸血鬼の予防法、防御法、退治法、世界の吸血鬼の種類など、吸血鬼に関するあらゆる知識。
 ドラキュラからベルトラン軍曹、ジェヴォーダンの獣まで人物紹介中心。各人物の紹介は4p.程度ながら、見慣れない人物を含めて40人も紹介されています。500円なので損はないかと。


ドラキュラ学入門
吉田八岑・遠藤紀勝:共著/現代教養文庫

 いまや映画でおなじみの「ドラキュラ」だが、数世紀の長きにわたり、文学に、芸術に、手をかえ品をかえ扱われてきたのには、人間の本質に訴える恐怖、さらに魅力があるからであろう。本書では、ヨーロッパに伝わる吸血鬼伝承と、それが発生する背景となった東欧の歴史をふり返りつつ、十九世紀から今世紀にかけて創作に表れた吸血鬼たちを検証、それはまさに民間伝承としての行きつづける事実であることを証す。これは多数の珍しい写真と図版を満載した「吸血鬼小事典」でもある。
 ヴラド、エリザベート、カニバリズムなど吸血鬼伝説の元になった事件や文学・映画、神話や伝説・民間伝承など。


Vampire 血の黙示録
吉田八岑:著/人類文化社

 ―生き血を吸わねば生きられない―
 悪魔学書の住人として、最も忌まわしく、艶美な「吸血鬼」の眞の恐怖が、本邦・デモノロジー巨匠の才知により、今ここに蘇る。世界各地の死者蘇生の実例・吸血鬼伝承などから、吸血鬼の原像を探る。「吸血鬼」(パロル舎1980年刊)の改題改訂。
 ハードカバー300Pの割りに字が大きいので内容的には見た目ほど多くない。世界各地の吸血事件、吸血食人伝承の他、現代版吸血鬼として人体パーツ加工産業や遺伝子操作も記述されている。北宋社の「吸血鬼」も同じか。


歴史人物笑史 爆笑ヴァンパイア
シブサワ・コウ:編/光栄

 闇の貴族、吸血鬼を徹底解剖した後、世界の吸血妖怪を紹介。妖しく美しい彼らの虜になるのは誰だ。
 爆笑シリーズ。世界の吸血鬼に使い魔や対策など、ドラキュラの粗筋とヴラドの略歴つき。情報自体はそれなりに揃っているんですが、半ばマンガ。


吸血妖魅考
モンタギュー・サマーズ:著/日夏耿之介:著/ちくま学芸文庫

 待望の名著ここに再現。―ヨーロッパ精神の影の領域に隠然と君臨し、異形の文芸思想へ多大の影響を投じつづけた吸血鬼伝承。そのすべてをモンターグ・サマーズの浩瀚な奇書に則して微細に説き明かす闇の文化史。日夏耿之介全集未収録作品。
 リンク先は定本となった1931年武侠社版ですが、1976年に牧神社から再版されています。武侠社版は序文「吸血ノ俗竝ニ傳承ハ、モトすらゔ民族ニ多クシテ、歐羅巴大ニヒロガリタルモノナルベシ。」を読めば分かる通りカタカナ文、1976年牧神社版も旧字が使われていたり文体が古いので、買う際にはご注意を。
 2003年、ちくま学芸文庫から再販。


吸血鬼伝承
平賀英一郎:著/中公新書

 「吸血鬼」はホラーの主人公としてこの世に生を享けたわけではない。それは、人びとが切実に恐れる一つの<現象>だった。東欧を中心に、吸血鬼にまつわる伝説・昔話・公文書・俗信の記録などを丹念に読み解くと、そこには、人びとの信仰や禁忌の有様、疫病や戦争、そして死そのものへの不安が色濃く影を落としていることがわかる。民族によって多様な姿で語り継がれてきた「生ける死体」たちとは何者なのか。
 各民族の伝承を丹念に辿り、特に「それ」が何と呼ばれているかに注目してその分布や起源を探る。今更とか言われそうですが、今回初読。というか先日入手。ドイツからロシア、カスピ海までマイナーな民族にまでその分布を探っても、夢魔や人狼や魔女に行き着いてしまって、所謂吸血鬼というのが一切存在しないというのは改めて目を引きましたね。


私の吸血学
岸田理生:著/白水社

 吸血鬼論考。吸血戚族考、ワラキアの王、鏡と大蒜、クリストファー=ドラキュラ=リー、吸血鬼文学小論、風変わりな吸血鬼たち、吸血鬼画廊、さまよえる父、吸血鬼と鬼、実録・吸血鬼、女性吸血鬼の肖像、ちのみごぞうし。
 吸血鬼ノートといった感じ。全体を俯瞰でき、資料も豊富だが、連載をまとめたもののようで資料としては使いにくい。見かけたら買ってみても良いが。



*-*-*-*-『ドラキュラ』-*-*-*-*

ドラキュラ100年の幻想
平松洋:著/東京書籍

 ドラキュラの謎はすべて解けた! なぜ十字架が嫌いなのか? なぜ鏡に映らないのか? なぜにんにくが苦手なのか?  哲学/民俗学/心理学を駆使した、知的/痴的/血的冒険の書。
 本書は人類に共通する基層の精神文化を探ることで、その表層として表れたドラキュラの「テクスト」を解明しようとするものである。したがって学問的なシェーマ(図式)や方法論を問題とするものではなく、様々な論理を手がかりにドラキュラの真の姿をどこまで解明できるかが課題となる。当然、多くの学問的領域を自由に行き来する学際的な試みとなり、論理の飛翔/飛躍を恐れない知/痴/血の冒険となるだろう。


殺す・集める・読む 推理小説特殊講義
高山宏:著/創元ライブラリ

 ホームズ冒険譚を世紀末社会に蔓延する死と倦怠への悪魔祓い装置として読む「殺す・集める・読む」、マザー・グース殺人の過酷な形式性に一九二〇〜四〇年代の世界崩壊の危機を重ね合わせる「終末の鳥獣戯画」他、近代が生んだ発明品<推理小説>を文化的視点から読み解く、奇想天外、知的スリルに満ちた画期的ミステリ集。
 うち一章を「テクストの勝利」として、『ドラキュラ』が過去と現在の対立、死と再生のパターン、不定形の恐怖を記録することによって明確に表したことによる勝利として、解説されている。


ドラキュラの世紀末 ヴィクトリア朝外国恐怖症の文化研究
丹治愛:著/東京大学出版会

 ドラキュラはなぜ、鏡に映らないか? 没落する帝国の「ぼんやりとした不安」をめぐり、表象としての吸血鬼に隠された意味に分け入る、冒険的なテキスト遊覧。


悪夢の世界 ホラー小説誕生
クリストファー・フレイリング:著/荒木正純・田口孝夫:訳/東洋書林

 フランケンシュタイン、吸血鬼ドラキュラ、ジキルとハイド、バスカヴィル家の犬…ホラーの元祖といえる四作品の誕生は、繊細な神経の持ち主の悪夢がきっかけであった。ホラー誕生の時代的・社会的・文化的背景に鋭く迫る。
 単語が普通では無い読み(スューアド(セワード医師)など)にされているのと、「――」を使った補足文章が多用されている点、章立てが分かりにくいのは難。NHKで放送されていたということなので、再放送があったら見てみたいところ。著者の執筆の状況を中心に、当時の状況や参考にされたであろうニュースや文献を幅広く取り上げる。推測は多いが強引なものではないので安心。所々は見聞きしているものの、これほど揃っているのは初なので、製作背景を知りたい人にはお勧めかも。


ハリウッド・ゴシック ドラキュラの世紀
デイヴィッド・J・スカル:著/仁賀克雄:訳/国書刊行会

 『ドラキュラ』―1897年に刊行された1編の怪奇小説は、トランシルヴァニアの古城を住みかとする不死の吸血鬼ドラキュラ伯爵という20世紀最大の悪のスターを生み出した。小説はまたたくまにベストセラーとなり、やがて伯爵はマントを翻して1人歩きを始める……。ヴィクトリア朝下に生まれ、現代ホラー文化の源流となった近代の神話の100年にわたる歴史を貴重な図版資料と関係者との綿密なインタビューによってつぶさに描き出し、心理学・社会学的考察も交えて「ドラキュラ」像の確立と変容をたどる――ヒューゴー賞にもノミネートされた究極のドラキュラ読本。
 ドラキュラ誕生100周年記念!! 「ドラキュラ」小説・舞台・映画のすべて ブラム・ストーカーとオスカー・ワイルドの奇妙な関係/失神者続出!舞台版『ドラキュラ』/幻の傑作吸血鬼映画『ノスフェラトゥ』/奇才トッド・ブラウニングとその映画『魔人ドラキュラ』/元祖ドラキュラ役者ベラ・ルゴシの栄光と悲惨/半世紀ぶりにキューバで発見された謎のドラキュラ映画…
 珍しい図版やをふんだんに使い、手紙やインタビュー記事などから、演劇と映画を中心とした製作背景を描き出す。ただ資料を並べているだけかと思ったら、フローレンス・ストーカーの著作権問題や当時の評判、『魔人ドラキュラ』の製作背景など読み物としても充分面白い。ドラキュラ候補の俳優の顔や3人の女吸血鬼のうち2人のプロフィール(1人は不明とのこと)が出ているのもポイント。マニアなら必読。貴重ではあるが値段が高いのが辛いか…。



*-*-*-*-ヴラド串刺公-*-*-*-*

推奨 ドラキュラ伝説 吸血鬼のふるさとをたずねて
レイモンド・T・マクナリー,ラドゥ・フロレスク:著/矢野浩三郎:訳/角川選書

 角川選書26
 十九世紀末、ブラム・ストーカーの小説『ドラキュラ』が出版されるや、たちまちにして悪夢の戦慄のうちに全世界を震撼させた。以来、映画・演劇の中でさまざまに形・姿を変えつつ、あの吸血鬼ドラキュラは、いまなお世界を跳梁跋扈しつづけている。本書の二人の歴史学者は、ドラキュラの故地トランシルヴァニア・アルプスの奥深い山中で、ついに真正のドラキュラ城を発見する。史実か伝説か、それともストーカーの単なる虚構なのか。黎明期ルネサンスの東欧を舞台にくりひろげられる。血で血を洗う凄惨な戦乱、その歴史の中に意外なドラキュラ像が浮かび上がってくる。
 ヴラドのことを調べるのならこれ。ヴラドの一生から伝承、文学・映画まで非常に分かり易くまとまっている。補遺としてドイツ、ルーマニア、ロシア語で伝わるヴラドの物語も。参考文献としても必ず出てくるので見ておきたい。


推奨 ドラキュラ伯爵 ルーマニアにおける正しい史伝
ニコラエ・ストイチェスク:著/鈴木四郎・鈴木学:訳/中公文庫

 ブラム・ストーカーの名高い伝奇小説『吸血鬼ドラキュラ』のモデルとして世界的に知られる、ルーマニアのワラキア公ヴラッド・ツェペシュ伯爵とは何者なのか――。祖国の統一と独立に献身したワラキア公の業績を歴史的に究明し、フィクションの「ドラキュラ」との差異にも言及する、出色の評伝。
 『ドラキュラ伯爵のこと』(恒文社)の改訂版文庫。
 上記よりもヴラド公について詳しく調べたいのなら。吸血鬼ドラキュラとは全く異なる歴史的なヴラド公の戦いに彩られた一生を追う。あくまで資料を追った論文なので硬め。詳細な年表つき。


「≪ドラキュラ公≫ヴラド・ツェペシュ」
清水正晴:著/現代書館

 叢書中世異端のコスモロジー
オスマン・トルコと戦い、祖国の危機を救ったワラキアの救世主、血煙の中の英雄≪ドラキュラ公≫の生涯。伝承と史実の落差が大きく、存命中から意図的に捏造・誇張されてきた彼の真実の事蹟を追う。
 上記よりも読みやすさを重視。



*-*-*-*-現実の吸血鬼-*-*-*-*

真実のバンパイア
スティーブン・カプラン:著/宇佐和通:訳/廣済堂出版

 不死、吸血行為、背徳の儀式……それは伝説ではなかった。現代の吸血鬼たちの真実の記録。衝撃の事実が明らかになる! 正真正銘の人血嗜好者たちの異常な記録。カプラン博士とバンパイア・リサーチ・センターが経験した、現代の吸血鬼たちの衝撃的なファイルを初公開!
 バンパイアを名乗る人々とのインタビュー記録。55%以上が偽者であり、残りがバンパイアのような生活を送ることで超常的な力を得られると信じているか、血液に性的興奮を覚える「バンパイアのような人」であり、「本物」のバンパイアに出会える確率は300人に一人だという。もっとも彼らも極端に個人情報を知られることを恐れており、どの程度信憑性があるのかは分からない。しかし…
 残念ながら著者のカプラン氏は1995年に急逝。V.R.C.の今後の報告を待ちたいが、『ムー』辺りで特集を組んでくれないだろうか?


推奨 死と埋葬のフォークロア ヴァンパイアと屍体
ポール・バーバー:著/野村美紀子:訳/工作舎

 映画・小説でおなじみの『吸血鬼・ドラキュラ』。その下敷きとなったのが、東欧のスラヴ地方を中心に、ギリシア、北ドイツ、ロシアなどに広く伝わる“吸血鬼(ヴァンピール)伝説”だ。しかしそこで描かれる吸血鬼像は「赤ら顔で、肉付きがよく、不精髭を生やし、経帷子を来た、みずぼらしい農夫」だった。
 民俗学者の著者は、民間伝承の吸血鬼を詳細に検討。そこに、現代法医学が明かす「死体の腐敗過程の科学」の成果を加えて、吸血鬼の意外な実像に迫る。吸血鬼とは、異常な死に方をして特殊な腐敗現象を起こした死体のことだったのだ。
 上の説明は上手くないですが、民俗学の観点から、吸血鬼とされた死体の外観や、厄除け、埋葬法の意味などあらゆる側面から、一貫した説明をされています。現代人とは違う視点で、起こった事実を素直に見ることで、ここまで説明がつけられるのかという感じです。


週刊マーダー・ケースブック
デアゴスティーニ

 世界を震撼させた殺人事件の真実。
1:シャロン・テート殺人事件 チャールズ・マンソン
   カルフォルニアの殺人教祖と彼をとりまく狂信ファミリー
14:硫酸風呂殺人事件 ジョン・ヘイグ
   完全犯罪を狙い、硫酸風呂で死体を溶かした現代の吸血鬼とは?
22:ハノーバーの狼男 フリッツ・ハールマン
   若い男ばかりが狙われた。好人物を「狼男」に変える周期的発作とは?
 1995年9月〜1997年8月までのシリーズ96巻。今でも根強い人気があり、古本屋などでも数百円で並ぶことがあります。シャロン・テートはロマン・ポランスキーの『吸血鬼』の出演女優であり、彼の妻でもあった人。マンソンがこの映画を見たために殺されたとも言われます。


血液の知識 しくみと働き
宮地勇人:著/東海大学出版会

 日頃の健康管理や、医療機関を受診した際に役立つ血液の知識を紹介する。血液の働き、血液検査からわかること、出血と止血、血液型はどうしてあるのかなど、血液の基礎的な知識と最新の知見をやさしく解説。
 吸血鬼ではないですが、血液に関する教科書。



*-*-*-*-紀行-*-*-*-*

吸血鬼幻想 ドラキュラ王国へ
菊地秀行:著/中公文庫

 ドラキュラ伝説の地、トランシルヴァニア。果たして吸血鬼は実在するのか? モデルとなった苛酷な領主と、墓から出てくる吸血ゾンビの面影を求めて、ドラキュラホテルの柩に入り、儀式を行う魔女に会い、恐れを知らぬたびは続く……。当代きっての超人気伝奇作家が描くユーモア旅行記。
 厚さ(230P程度)に見合った程度の簡単な紀行文。マクナリーのドラキュラ伝説からの簡単な解説に古い吸血鬼映画の名場面の紹介程度。



*-*-*-*-文学・映画-*-*-*-*

ドラキュラ文学館 別冊幻想文学 吸血鬼小説大全
稲生平太郎・菊地秀行・須永朝彦・他:執筆/幻想文学出版局

 「日本書籍総目録」未収録
『幻想文学』28号の特集≪吸血鬼文学館≫を基に、小説作品や有名作品のさわりと解説を加えたブックガイドなどを増補した新装改訂版。
 書籍ではなく雑誌の別冊。吸血鬼論に文学誌の他、「小説ヴァン・ヘルシング」須永朝彦、「断章」バイロン卿、「夜ごとの調べ」ステンボック伯爵、「吸血鬼」城昌幸、「吸血鬼狩り」A・クビーン、「月の光」S・クイン を収録。


アン・ライス・ウィズ・ヴァンパイア・ジェネレーション

 トーキングヘッズ叢書 No.13
ヴァンパイアを見分ける!飼う!愛人にする!ヴァンパイアで遊ぶぞ!! アン・ライスの原点となる本邦初訳の短篇二篇、パット・キャディガンのヴァンパイア短篇、ヴァンパイアに関する考察などを収録。


シネマティック・ヴァンパイア 吸血鬼映画B級大全
ジョン・L・フリン:著/濱口幸一・村岡静二・濱田尚孝:訳/フィルムアート社

 「悪魔の館」(1896年)から「ドラキュラ」(1992年)まで95年以上にわたり吸血鬼は300本以上の映画に登場。吸血鬼映画の完全なフィルモグラフィー。映画・TV作品および人名索引付き。


[ back ]