全部ではないですが、トリ・ブラROM&RAMの人物&用語集 自分のサイトなどで使いたいという方はご自由にお持ちください。 ついでに、人物辞典を作っているサイトさんがありましたら、教えてくれると嬉しいな、とか。 追記 と、書いたものの、2003/2号にはしっかりとした辞典がついている…。 ********************************************************************************************************************************************************************** アイザック・バトラー ロンディニウムの貴族の執事。年の頃は三十前後、上品に整った顔立ちに黒髪と、知性を感じさせる黒い瞳、銀縁眼鏡にステッキとシルクハット、ブライアー軸のパイプをもち、漆黒のインバネスをまとった犯しがたい雰囲気を持った紳士。。クレマン記者に身元をネタに独占取材を強要されていたエステルを助け、その後も手を貸し続ける。野犬の群れを操る能力を持つらしい。ROM4 ミケーネ伯アガメムノン クレタ島から、メンフィス伯を名乗るラドゥと士民アベルを名乗るディートリッヒによって徴用された遠洋強襲艦(カラミュゼル)ネレイアデスの艦長(レイス)。六人の船員が船内で行方不明になったため、封鎖された船倉の調査に向かうが、ラドゥによって殺された。ROM3 シスター・アグネス アムステルダムで起きた教区司祭を含む十名の聖職者に対する殺人・血液強奪事件の生き残り。父親はヴァトー家に仕える騎士であったが、九年ほどまえにおきた吸血鬼の襲撃事件で殺されたらしい。五歳のときに教会に預けられて以来、教会で育ってきた。事件の際に目撃した手の甲に花のような刺青をした藤色の目の男について証言する。RAM1 アスタローシェ・アスラン Astharoshe Asran 「人ならざる国から来し、 異邦の美姫よ その琥珀の瞳に映りし人の世は、 汝に何を伝えるのか――」 真人類帝国の七品官である直轄監察官(カマラーシュ)。キエフ侯女(クニャゼーデ・アル・キエヴァ)、オデッサ子爵(ヴェカテータ・アル・オデツァ)。キエフ侯爵(クニャゼーラ・アル・キエヴァ)。百八十をゆうに超える長身に琥珀色の瞳、額にかかる人房を血の色に染め、他はすべて象牙色に脱色した美女。外見はようやく少女の域を脱したばかりに見える。 アスラン家の家章は“槍掲げる乙女”。 逃亡中の大量殺戮者追跡のためヴェネチアを訪れ、教皇庁の協力者アベルと共にエンドレを追う。その後は“外”の人間社会についての研究に没頭し、“短生種好き(プロティエズ・テラニ)”と渾名される程の短生種通になっていた。 ネバーランド事件ではアベルらによって逃がされた“妖精”たちを保護し、自活出来るまでに手配している。 エンドレ事件の三年後、キエフ侯爵となるが、間もなく皇帝暗殺事件に巻きこまれる。 キエフ侯家に伝わるプラズマジェット生成システム“ゲイ・ボルグの槍(スリータ・ア・ゲイボーガ)”を持つ。ゲイボルグの槍は、光圧(レーザー)でイオン化したXe(キセノン)ガスを真空チェンバーから噴射、発生した数万度の高温高密度のプラズマジェット噴流であらゆる物質を切断してのける究極の白兵戦用兵器。“遺産”と呼ばれる帝国のオーバーテクノロジーの中でも、近接戦闘においてはほぼ最強を誇る武器。RAM1 アディ イシュトヴァーン解放戦線の仲間。その後運送会社の社長となる。ROM4 アニエス・ド・ヴァトー 十年前、ブリュージュのヴァトー家襲撃事件で連れ去られたユーグの妹。ギィ・ド・グランヴェルに融解された直後、殺害されている。 アフメット バビロン伯爵家に仕える老家令。ティグリス公による弑逆未遂事件の後、主であるバビロン伯と共にアルビオンに逃れようとするが捕らえられ、その後仲間と共に殺害された。ROM4 アベル・ナイトロード Abel Nightroad Ax派遣執行官“クルースニク(十字架を背負う者)” 「贖罪の十字を背負いし咎人よ 漆黒(くろ)き翼を背負いし堕天使よ 其の者、断罪の剣を手に持ちて 昏き夜を独り往く――」 「心には、消えぬ疵痕を 身には、呪わしき刻印を 拭えぬ大罪を償うために 汝は、今日も昏き道を歩むのか――」 異端審問局のデータによれば身長193cm、体重65km、戦闘能力B-、戦闘モード“クルースニク”時っはA+。 牛乳瓶の底みたいな丸眼鏡、冬の湖のように青い瞳。おさまりの悪い銀髪に、どこにっでも転がっていそうな表情をした、190センチを超えるやたら背の高い男。十三杯の砂糖を入れた紅茶―というかゲル状の何か―を好む。ホロスコープは乙女座、ラッキーナンバーは十三。 回転弾倉(シリンダー)内に直接封入した火薬に点火して弾丸を発射する機構を備えた旧式回転拳銃(パーカッション・リボルバー)CAW(クラフト・アルビオン・ワークス)社製五十一式三十八口径回転拳銃“ピースキーパー”を持つ。生年月日、身長、体重、経歴など殆ど全てのデータはUnknown(不明)。世界を敵に回し、同胞を敵に回し、己すら敵に回して、七百万もの命を奪った“神”。  体内にナノマシン“クルースニク02”を持ち、それを起動させることで吸血鬼を超える力を持つ吸血鬼の血を吸う吸血鬼となる。王冠のように逆立った銀色の髪に、血の色に輝く瞳に、超硬質の巨大な双翼を生やし、闇よりもさらに暗い両刃の大鎌を持つ。メガボルト級の電撃を自在に操り、加速状態に入った吸血鬼すら知覚できない速度で動くことができる。また強力な再生能力は、肉体が粉々に砕かれても、掌や血から現れた口が肉体を貪り食うと、再びもとの姿に戻ることができる。 ROM1〜 アルノルト・ディ・カンビオ 教会空軍に所属する初老の軍人。“ジャオエル”の艦長を務める中佐。アベルら派遣執行官を追跡する異端審問官ブラザー・マタイに従って偽教皇アルフォンソのいるエストニアに向かい、マタイが地上に降りた間、上空支援を行う。 後、大佐となり、イシュトヴァーン戦役で第六旅団“ユスティニアヌス”を支援していた空中戦艦“サンダルフォン”の艦長を努める。“嘆きの星”による最初の攻撃を目撃、教皇庁に報告する。ROM1 アルフォンソ・デステ Alfonso D'Este 教皇の叔父にあたるケルン大司教。灰色の瞳に白髪のせいで老けて見える五十の男。 長年前教皇グレゴリオの生前は兄をを補佐し、枢機卿団長・異端審問局長、国務聖省長官を兼ね、教皇庁の改革に大鉈を振った、その政治的手腕を内外に高く評価されていた。自分に厳しく、他人には更に厳格だった彼は、聖職者達の不正にいかなる容赦もせず、また世俗諸侯の不敬に一片の慈悲も与えなかった。幾人もの聖職者が焼かれ、幾つもの国が情け容赦なく滅ぼされた。かつては“峻烈公(イル・フリオーゾ)”と呼ばれた厳格な男。 前教皇グレゴリオの急逝後、次期教皇選出は間違いないと目されていたが、苛烈過ぎる彼の即位は何者にも歓迎されず、世俗諸侯の離反を恐れたフィレンツェ公フランチェスコ、ミラノ公カテリーナの選挙工作に破れ、彼らが推した甥に敗北した。以来枢機卿も辞任してケルンに篭っていた。ケルンで“騎士団”と手を結び、自らが教皇となる新教皇庁(ノイエ・ヴァティカーン)の設立とケルン遷都を狙う。“沈黙の声”システムをバルセロナで実験を行わせた後、方柱(オベリスク)に隠してローマに持ち込んで教皇殺害を狙うが、失敗。教皇のプラーク訪問時に教皇を捕らえ、ブルノで自らの戴冠式を執り行おうとするが、教皇軍の攻撃を受けて敗北。第二次ボヘミア戦役と呼ばれた騒乱の中で行方不明となる。RAM2 マインツ伯アルフレート ゲルマニクス王国のマインツ伯爵。異端審問局の資料によれば六十七件の殺人・血液強奪容疑で手配中。人質を使ってトリスタン号が補給寄港したマッシリア空港でトリスタンに乗りこみ、副長ロズウェルを脅してトリスタン号のブリッジに入り込むと乗員を殺害、磁気レコードによって目標座標を変更してローマに向け、拘置する全吸血鬼の解放させようとした。薄い唇の貴族。姦してから喉を掻っ捌いて飲むのを好む。 ロンディニウムでスコット司教を逮捕しての帰還中だったアベルと闘い、ローゼンクロイツのことを口にした途端、発動した後催眠によって自らの左手で心臓をつかみ出して気嚢から転落した。 マッシリアを根城にする小さな田舎氏族(クラン)“悪の華(フリュース・デュ・マル)”に所属していた。 アレクサンダー・スコット司教 前ロンディニウム司教であり、珍しく人間から転向した老吸血鬼。七人の尼僧の殺人および血液強奪の容疑でアベルに逮捕された。RAM1 アレッサンドロXVIII世 教皇 世界最大の権力者にして神の地上代理人である第三百九十九代教皇。逞しさの欠片もない痩せた身体に灰色の瞳、そばかすだらけの扁平で貧相な顔をした凡庸な外見の十代の少年。2人の従兄妹の協力による教皇就任以来、悪化した対人恐怖症と吃音症をもっている。 ちなみに現教皇ヨハネ・パウロ二世は第264代で、これまでに8人のアレクサンデル教皇がいます。ROM1〜 シスター・アンジェリナ 前ロンディニウム司教アレクサンダー・スコットの獲物になりかかっていた尼僧。RAM1 アントニオ・デ・ボルジア・イ・ボルジア Antnio de borgia y borgia 長髪を茶髪に脱色したケルン大学の神学生。ケルン大学きっての天才と呼ばれ、二十三歳で七つの博士号を持っている天才。ローマ大学でも政治学部の教授職が用意されていたらしい。ヒスパニア王国宰相、バレンシア公カルロス・ボルジアの公子。ケルンでの新教皇庁リスト事件後、新人司祭として教皇庁に入庁、国務聖省、教理聖省などに関係を広げる。RAM3 枢機卿。広報聖省(プロパガンダ・フィーデ)長官として教皇庁の宣伝活動とマスコミ対策をとりしきる軽薄才子。涼しげな二重瞼と聖職者としてはやや威儀に欠ける長髪が印象的な若者。ヒスパニアきっての大貴族にして聖界内外にも大きな人脈を持つボルジア家の御曹司。 飛行機や飛行船では酔わないが、船や汽車では乗り物酔いするたちらしい。ROM2 イオン・フォルトゥナ Ion Fortuna 真人類帝国名族中の名族であるモルドヴァ公子(ヴォイヴォーダ・モルドーヴァ)・メンフィス伯(コシテス・ア・メンフィス)。将来の枢密司職を約束された帝剣御持官(スパタール)。 玲瓏な白い顔に薄い唇、金髪、見目麗しい少女とも凄婉な美少年ともつかぬ中世的な顔に、磨き抜いた銅に金を散らしたような不思議な色合いの瞳をした外見は十三、四歳の子供。幼い頃に母を無くし、数多くの親族によって育てられた。  皇帝の命によりカルタゴ訪問中のスフォルツァ枢機卿を訪ねるが、騎士団に寝返っていた親友ラドゥの裏切りによって会談は失敗、自らはアベル、エステルと共に異端審問局やラドゥから逃げ回る羽目になってしまう。共通の敵である“騎士団”の存在により会談に成功し、シスター・エステルと共に帝都に帰還するが、そこでも祖母ミルカと皇帝が謀った皇帝暗殺未遂事件に巻き込まれ、追われることとなる。  少な目の阿片に砂糖を一つまみ入れた生命の水を好む。ROM2 イグナーツ・ルカーチ 酒場の主人であり、イシュトヴァーン人類解放戦線のメンバー。補給や資金調達を担当しているでっぷり太った巨漢。解放の一年後にはダヌンツィオ大司教の協力によりコシュート通りの高級ホテル・ツィラーグのオーナーとなる。シェラザードと共に転がり込んできたエステルを保護するが、大司教を批判し、吸血鬼に協力するエステルを見て、彼女を捕らえさせるが、エステルを殺そうとするドボー中尉を止めようとして殺される。。ホテルのレストランはベーグル・サーモンサンドが美味で、ウェイトレスの制服が可愛いらしい。ROM1〜 イザーク・フェルナンド・フォン・ケンプファー Isaak Fernand von Ka"npfer 薔薇十字騎士団幹部。位階9=2(メイガス)“機械仕掛けの魔道士(パンツァー・マギエル)”。腰まである黒髪に黒の背広をきっちり着こんだ男。死魚を思わせる光らない瞳。怜悧な顔には、知的だがどこか見る者を不安にさせる微笑が貼りついている。五芒星(ペンタグラム)を縫い取った手袋をし、細葉巻(シガリロ)を好んで吸う。砂鉄を使って姿を変えることも出来るようだ。 “ベルゼバブの剣”“大災厄”前のロストテクノロジーである単分子ワイヤー(モノ・カーボンファイバー)を利用した武器。炭素C60分子多重双晶粒子を素材とした最細・最強の炭素繊維であり、熱に弱いという弱点こそあるものの、ダイヤモンドすら容易に切断してのける力を持つ。 “アスモダイの盾”強電磁場によって攻撃のベクトルを変えて攻撃をかわす絶対的な防壁。 ヴェネツィアの謝肉祭では策士(アルレッキーノ)の仮面をつけていた。出張では地元のワインを飲むと決めている。 “ベリアルの矢”戦艦主砲なみの威力を持つ電磁加速砲。 聖イシュトヴァーン 東方の寒村に膨大な電力を甦らせた聖人。 イノケンティウス十六世 吸血鬼どもとの戦いが始まった暗黒時代初期に殉教したと伝えられる教皇。他の教皇同様、サン・ピエトロの地下に葬られた。 イブラヒム メンフィス伯を名乗るラドゥらによって徴用された遠洋強襲艦ネレイアデスの航海士(ナヴォフィテール)。案山子のように痩せた、あまり勇敢とは言えない男。アガメムノン艦長らと共に封印された船倉に調査に入ったが、自動化猟兵によって殺された。 イムレ イシュトヴァーン人類解放戦線のメンバーである白髭の老人。イシュトヴァーンの直轄宣言を行ったジュラの屋敷を襲撃する際、八班として政治犯収容所に捕らえられた者の避難を担当した。 その後、解放博物館の館長となる。ROM1 ナヴァリノ侯ヴァシュマール モルドヴァ公ミルカ、スレイマンに次ぐ高齢の枢密司。 ドクター・ウィリアム・W(ウォルター)・ワーズワース William Walter Wordsworth Ax派遣執行官“教授(プロフェッサー)”。ローマ大学の正教授であり、文学部と理学部で講義を持っている。海泡石のパイプをくわえた痩せた顔の男アルビオン貴族に特有の面長の顔。トレスのような機械人形に通じている。自身の塊のような男。ステッキの先から榴弾砲にも匹敵する火炎を噴き出す武器を持つ。Axが出来る以前からハヴェル神父、ケイト、アベルらと親交があった。 ウィレム アムステルダム伯の弟ピーテルが飼っている甲高い声のチビの短生種。ユーグに殺されたピーテルの死体をカレルの元に持ちかえった。カレルに命じられてロストテクノロジーの産物である外骨格型教化戦闘服、動甲冑(スーツ)を持ち出してアグネスを連れ去るが、地下ホールでユーグに腰から両断されて死ぬ。 ウェンディ ちっちゃいときは“外”にいた。青いメイド服に青い目、そばがら(ストローブロンド)色の髪をひっつめた十代も半ばほどの少女。ネバーランドにいた“妖精”少女。“大災厄”前のロストテクノロジーマスター&スレイヴ方式の戦術統制システムであるティンカーベル・システムのマスター。ネバーランドの妖精たちを統率する。 “先生”ジェームズ・バレー教授に命じられて周辺海域の船を襲ったことにより、殺人および海賊行為の容疑者として逮捕されるはずだったが、レオンがチャーターした貨物船で帝国のアストの元に送られ、保護されたらしい。 RAM2 エヴァ ケルン暗黒街の帝王ゼップの愛人。ケルン大学在学中のアントニオと関係を持ち、アントニオを介してボルジア公の紹介状を得てケルンから引っ越した。娼館の顧客リストも持ち出そうとしていたらしい。面子を潰されたゼップはアントニオを捕らえるために街中で襲撃する。 シスター・エステル・ブランシェ Esther Blanchett 元聖マーチャーシュ教会の見習いシスター。 「凍てついた廃都に咲く希望の華。 其の蒼き瞳に映るは、 輝かしき未来か、絶望の終焉か――」  紅茶色の髪に白く整った顔、青金石(ラピスラズリ)を思わせる光の強い碧い瞳、やや小さめの胸と幼さを残した美貌の十七歳の少女。色白の顔から北国の生まれと思われる。希望の星(エステル)の名を持つ。  母親は不明だが、父親エドワード・ブランシュによって聖マーチャーシュ教会に預けられ、司教ローラによってで育てられた見習い修練女(シスター)。イシュトヴァーン人類解放戦線のリーダー“星(ツィラーグ)”として“血の丘”を襲撃、ハンガリア侯ジュラの最後を看取り、彼を墓地に葬った。イシュトヴァーン戦役後はアベルの推薦によってローマへの転属通知を受けて二月二十日付けで教皇庁国務聖省調査部員となった。訓練所では語学評価Aランクなど、殆どの過程でトップを取る優秀な人材。母国語であるハンガリア語、ローマ公用語、ラテン語、アルビオン語を母国語同様に操り、カルタゴ語をはじめ五カ国語を日常会話に不自由しない程度に使いこなす。 その後、イシュトヴァーンでは悪鬼ジュラを倒した“聖女”として称えられ、一周年を期に大司教ダヌンツィオ自ら筆を執った歌劇が演じられる。ROM1〜 エドワード・ブランシェ シスター・エステルの父親とされる人物。アルビオンの最下級勲爵士(ナイツ・バチェラー)とされるが、貴族年間、紳士録、紋章院の極秘資料にもその人物の形跡は残されていない。 エリス・ワズマイヤー 異端審問局から“魔女”として手配されている接触テレパス。他人の心に触れ、それを捻じ曲げる力を持ち、意思とは関係なく力を発動させ、彼女を暴行し様とした司祭、父 、養父、施設にいた男児八人を死傷させ、“悪の華”のアジトでは吸血鬼同士を殺し合わせたらしい。魔女の多くは吸血鬼同様に忌まわしいものとして狩られ、殆ど絶滅しているが、先祖返りで能力を開花させたらしい。黄金色の髪に鳶色の瞳をした花の十七(十八?)歳の少女。 マッシリアにある“悪の華”の根城でアベルとトレスによって発見された。聖ラケル修道院に引き取られるはずだったが逃亡。 聖女エリッサ カルタゴで篤い信仰を集めている守護聖人。暗黒時代の中期、吸血鬼たちがこの地方に押し寄せてきた際に、町を守って自らの命を犠牲に吸血鬼を滅ぼし、カルタゴは辛うじて救われた。その遺体は彼女を悼む人々により、カルタゴの町の大聖堂の地下二百メートルの“女王の墓所(カブラル・エリッサ)”に封ぜられたという。また、教皇庁公会議により異端と認定された偽典『アンブロシウス福音書』などではエリッサが神に使わされた天使“イブリース(砂漠の天使)”であり、死んだというのは見せかけで、いまでも町を守っているとも伝えられている。砂漠に起こる砂嵐は、カルタゴを見守る彼女の翼の羽ばたきであるともいわれる。ROM2 ザグレブ伯爵エンドレ・クーザ 目をみはるほどに美しい少年の外見をした老吸血鬼。十をすぎているとは見えぬ幼い顔に、千年を経た蛇のようにねっとり濁った真鍮色の瞳、薄めの唇に真珠にも似た歯をもつ天使のような美貌の少年。ヴェネツィアのクラブ“INRI”のオーナーでもある。 短生種に対する虐待以外にも、教皇庁と帝国の全面対決を引き起こそうと企んだ国家反逆罪の嫌疑を掛けられ、それが陛下の怒りをかって国を逐われた。 ヴェネチアのモーゼス可動堰の管理官、ヴェネチア市内の建設会社社員二十名あまり、ヴェネチア私立大学考古学部の助教授の一家全員、古美術鑑定士マルコ・コレオーニ一家を虐殺した犯人。帝国において臣民三百人を殺害した帝国最悪の大量殺戮者。マルコ・コレオーニ氏宅では、血で巨大な逆十字と“我ら、炎によりて世界を更新せん(Igne Natura Ronovatur Integra)”という文字が描かれていた。これらにより人間社会では更に四十件の殺人容疑で追われることとなる。 家章は「剣と刀を持つ竜」。三番目の事件で被害者が指輪―貴族だけが所有を許される月長石の印章指輪(セムニエル)―を握っていたことから事件が展開、帝国からエンドレと因縁のあるアスラン子爵が派遣されることとなる。聖マルコ大聖堂での法皇暗殺に失敗、アベルとアスト捕らえられて帝国に連行されるが、船で護送される途中、現れたケンプファーの影に飲みこまれた。教皇庁と帝国の全面対決を引き起こそうト狙っていたが、逆に一時的に協調関係を生み出すため騎士団に利用されたようである。 体の周囲を周回する八つの金属球からなる強磁界シールドシステム(イージス)によってあらゆる攻撃から身を守る。 オーソン トリスタン号を操る髭の操舵長。RAM1 オルハン 遠洋強襲艦ネレイアデスの船員。船内で行方不明となり、船倉に載せられていた自動化猟兵の餌となっていた所を艦長アガメムノンによって発見された。。 ROM3 カーリー ホオジロザメに匹敵する嗅覚を持つネバーランドの妖精。縞模様の水夫服をまとい短槍をもってレオンに襲いかかる。 カイン? 端正な顔に薄い唇、黄金の髪を持つアベルとセスの兄弟であり騎士団の長。ナノマシン“クルースニク01”と100パーセント融合していると思われる。 大気圏外から地球に落とされたが、数百年をかけて再生、帝国での皇帝暗殺事件の一年前にセスによって以前と変わらぬ姿で目撃されている。 カテリーナ・スフォルツァ Caterina Sforza  枢機卿。教皇庁国務聖省長官  ミラノ公。二十代半ばほどの匂いたつような美貌、冷え冷えとした光を湛えた剃刀色の瞳に片眼鏡(モノクル)をかけた女枢機卿。生まれながらの貴族らしく、憂いとも倦怠ともつかぬ微妙な表情を刻み、気だるげに見える雅やかな表情を持つ世界で最も美しい枢機卿。教皇アレッサンドロXVIII世の異母姉であり、教皇庁外交を司る教皇庁国務聖省長官。世俗との強調を重視する穏健派の代表だが、“鉄の女”として内外に恐れられる教皇庁きっての辣腕家でもある。  十二、三年前、十四、五歳で飛び級(スキップ)で大学院に入った頃に、ミラノからローマにきてアベルと出会っている。十四の時に家族を殺されている。 アベル曰く、「冷酷非情、冷徹無比、慇懃無礼で情け知らずな鬼上司」(笑)ROM1〜 カレル・ファン・デル・ヴェルフ “四伯爵(カウント・フォー)”の一人アムステルダム伯。粗暴な輝きを放つ銅色の小さな瞳、特徴的な鉤鼻に貪婪そうな厚い唇をした青いスーツの老吸血鬼。組織でも武闘派でならしているが、頭を使うのはあまり得意ではないが、怒らせると何をしでかすか分からないタイプ。 ユーグとの戦いに敗れ、十年前のヴァトー家襲撃の実行犯の名前を口にしようとした所を、紫の瞳の男(ハンス・メムリンク?)が放ったと思われる太矢に額を貫かれて死んだ。 キーツ エンドレを飲みこんだイザークが引用した詩人「この優しき夜、星の精に囲まれて、いざ玉座の月の女王顕れなん。されど、地上(ここ)には光なく」 ギィ・ド・グランヴェル 四伯爵の一人ブリュージュ伯。痩せぎすの風貌が短生種の会計士を思わせる白い背広に銀縁眼鏡をかけた青年。怜悧な切れ長の目。 ギェルゲイ・ラドカーン Gergey Radco'n イシュトヴァーン市警軍大佐 ごつごつと節くれだった手に肉食魚を思わせる小さな目に厚ぼったい唇をした魚顔の巨漢。良く発作を起こして暴力を振ったり、女性を連れ去っていたようだ。 二の腕が灰色に変色していることから、フランクかゲルマニクスあたりで、発掘復元(サルベージ)されたロストテクノロジーの生体強化技術によって灰色熊にも匹敵するパワーを与えられた強化兵上がり。その疾走は大型装甲車にも匹敵する。ROM1 キャサリン・ラング トリスタン号の自動制御システムを設計した天才的技術者。電動知性を大胆に用いて省略した自動制御システムを設計し、運航要員を従来の十分の一である五人にまで抑えた革新的機構を持つトリスタンを生みだした。トリスタン号の客室乗務員ジェシカの母親。 ギュンター・レンツ ケルン市警(ポリツァイ)として、新教皇庁のメンバーリストを持つアントニオ公子を襲撃したホーフ通りの銃撃事件捜査のためにアベル神父に尋問しようとした。正体は新教皇庁の神父。教皇庁の特殊歩兵大隊に所属していたが、大量殺人罪に問われた所をアルフォンソ・デステに救われ、新教皇庁に参加した。 リストを会衆に向かったギャングゼップの店“黒い森”のカジノでカテリーナ枢機卿の回収チームに逮捕されたようだ。 グデーリアン 灰色の髪をした陰気な若者。中背だが無知のように引き締まった体に、肉食獣めいた瞳孔の小さな瞳をしたアルビオンの紳士。バトラーの同僚。ROM4 クルーディ かつてのイシュトヴァーン解放戦線の仲間。その後、ヴェネツィアの金持ちの未亡人と結婚し、街を出る。ROM4 グレゴリオ三十世 前教皇。急逝した後、有力貴族出身の枢機卿や実弟アルフォンソらが後継者候補となって後継者争いは熾烈を極めた。アルフォンソが次期教皇と目されていたが、ミラノ公・フィレンツェ公の裏切りによってグレゴリオの庶子であるアレッサンドロ十八世が教皇に即位する。百を超える愛人に数多くの庶子がいたらしい。 カテリーナが十九の頃に死んでいる。 クレマン アルビオンでも悪名高い扇情日刊紙(イエロー・ペーパー)ピカデリー・ガゼットの中年の記者。イシュトヴァーン解放一周年を期に帰国したエステルの身元を。ROM4 クレメンス十九世 教皇。百年ほど前の教皇。この時代に、“大災厄”の昔から遥か南から運ばれてきて、サン・ピエトロ広場に立っていた方柱が地震で倒れてしまった。アルフォンソ・デステが五年ぶりのローマ来訪を記念して寄進し、同様のものが再び建てられることになる。 グンデル かつてのイシュトヴァーン解放戦線の仲間。その後銀行の名誉顧問に就任。ROM4 ゲーテ ローマのサン・ピエトロ大聖堂の地下でディートリッヒに助けられたイザークが引用した詩人。“絶望している悪魔以上にみっともないものは、この世にはない(ニヒツ・アプゲシュマックスタース・フィン・イッヒ・アウフ・デア・ヴェルアルス・アイネン・トイフェル・デア・フェアツヴァイフェル)” シスター・ケイト・スコット Kate Scott Ax派遣執行官“アイアンメイデン” やや垂れ気味の目に穏やかな光をともした、上品でたおやかな印象の女性。目元に泣き黒子がある。教皇庁国務聖省特務分室所属の巨大な空中戦艦“アイアンメイデンII”の艦長。ROM1〜 ケストナー ローマでAxを辞めると発言したアベルを見てイザークが引用した詩人。“人生の半分は仕事であるが、残りの半分も仕事である(アルバイト・イスト・ダス・ハーバ・レーベン ウント・ディー・アンドレ・ヘッテ・オイヒ)” コネリー船長 豪華飛行船トリスタン号の船長。RAM1 コンスタンティヌス一世 帝都の星皇宮の地下にある地下宮殿(イェレバタン・サライ)に関係するらしい人名。古代ビザンツ帝国の皇帝であったのでは無いかと思われる。 サーシャ コナヴリ村の村長カスパレクの15歳の娘であり、兄に次ぐ村の勇者。兄の敵討ちのため銀の燭台をもって、教会に潜んでいたマリスとミリスに立ち向かうが、教皇庁から派遣されて来た長身の男が倒されたのを見て気を失ってしまった。ROM1 サルキス 遠洋強襲艦ネレイアデスの船員。船内で行方不明となり、船倉に載せられていた自動化猟兵の餌となっていた所を艦長アガメムノンによって発見された。。 ROM3 ジェームス・バレー 前ロンディニウム総合大学医学部部長。医学博士にして童話作家としても知られるアルビオン老人貴族。老化の研究で女王から勲章を貰ったこともある。シンジケートからダーリングを含む数十人の児童を買いとっては、アルビオン北方の小島に連れていき、吸血鬼に転向させる生体実験を行っていた“ネバーランド事件”の首謀者。それにより四十八件の殺人罪が確定し、死刑は免れないはずだった。 “ティンカーベル”実験の時にウェンディに島を追い出された後、顔と名前を変えてハイメ・ドメネック社長として製薬会社ドメネック社の社長を務めていた。“騎士団”に会社の障害排除を依頼していたが、イザークと手を切ろうとしていた。あとを暗黒外の顔役ビリャールに任せて公都バルセロナからVIP専用線でアヴィニヨンに行こうとしていたが、倒壊した駅舎の下敷きになって死亡した。 ジェシカ・ラング そばかすの浮いた童顔に客室乗務員に相応しい笑顔をもつ女性。昨年無くなった飛行船設計家キャサリン・ラング博士の娘。操舵士希望で入社したが、客室乗務員として勤務している。初任給は二千ディナールだったらしい。RAM1 シェラザード・アル・ラフマン Shahrazad Al Rahman 真人類帝国バビロン伯爵。褐色の肌に光沢のある黒の巻き毛、紫水晶の瞳に彫りの深い顔。 事故で両親を失って以来ティグリス公に育てられていた。職務上知りえた情報を叔父であるティグリス公に渡すことで、彼の皇帝弑逆未遂事件に知らずに加担、副参軍(アルマ・ルクサール)を務めていたティミショアラ都護府(カティエール)を出奔し、アルビオンに逃れようとするが途中で露見、ドボー中尉率いる教会軍部隊に捕らえられた。圧電素子型衝撃発生の遺産(デバイス)、手の甲に宝珠を嵌め込んだ銀色に輝く長手袋“銀の腕(アールツケーヴ、アーツケラーヴ)”を持つ。 ダヌンツィオ大司教に配下の士民らを捕らえられ、彼の命でエステルを主人公とした歌劇『嘆きの星』の開演挨拶中に彼女を誘拐する。 ROM4 “ジプシークイーン” 派遣執行官の一人。アルビオンの妖精事件で児童誘拐シンジケートの破壊されたアジトを調査したらしい。バルセロナのドメネック社崩壊でも調査を行い、シスター・ノエルの遺体を回収している。 シスター・シモーヌ ローマの“沈黙の声”事件で鐘楼の鐘を銃撃しようとしたアベルの前に立ちふさがり、方柱破壊に向かったアベルたちの前に立ちふさがった。針をアベルの首筋に当てた。めりはりの利いたボディラインに、白魚のような指をした異端審問官。細い針を使う。 シャイフ・アル・サアリビー カルタゴ提督(ベイ)。異端審問局の空中戦艦の来訪に対して、枢機卿カテリーナに怒鳴り込んだ。禿上がった頭に、口の周りにちんまりと髭が生えている。ROM2 ジャン・ジャック・ド・ヴァトー警視総監 ユーグの父親。十年前に吸血鬼の襲撃を受けて惨殺されている。駆け出しの検事補だったブリュッセルのローデンバック検事を世話したことがあるらしい。 ジュゼッペ・モレッティ 教皇庁聖宝認定局局長。ロストテクノロジー研究の大家として知られる老博士。 シュテンドル二等兵 市警軍の地下施設を警備していたが、パルチザンの攻撃を受けて気絶した。強盗殺人と婦女暴行で故郷にいられなくなり、半年前にイシュトヴァーンに流れ着いた。宿舎に金と宝石を隠してあるらしい。ROM1 ジュラ・カダール Gyula Ka'da'r ハンガリア侯爵。イシュトヴァーン第一級施政官。  人類にとっては名目上の自由都市、帝国にとっては事実上のハンガリア侯爵領という二つの性格を備えた土地の統治者。  古代の男神像を思わせる黒い巻毛に縁取られた白皙の美貌、均整の取れた長身に、ある種の狼犬を彷彿とさせる色素の薄い灰色の瞳をもった美しい若者。瞳を取り巻く灰色の虹彩は夜の川面を漂う霧を思わせ、知的だが冷たい悪意のようなものを含んでいる。生まれながらの貴“帝国”からイシュトヴァーン中央駅に帰ってきたときにはインパネス(「トンビ」と呼ばれる一重のケープ)をまとっていた。骨が変形したらしい、ダイアモンドに準じる硬度を持つ極めて微細な襞からなる骨剣(ブレイド)を生やし、その刃を高速振動させて対象を切り裂く。その共振によって生み出されるマイクロウェーブによって高周波シールドを生み出すことも出来る。  生き血はあまり好まず、ワインに血液製剤を溶かし、香料と阿片を加えたものを好む。  数百年に渡ってイシュトヴァーンを支配下に置き、イシュトヴァーンの西街区(ブダ)全域全てを私有地としている。血の丘(ヴェールヘジェン)の頂上にバロック様式の丸屋根を戴く白亜の宮殿に数多くの自動人形(オートマタ)と共に住む。めぼしい施設を所有しており、経営する醸造所(ワイナリー)では、葡萄に血の肥料を与えて“雄牛の血(エグリ・ヴィカヴェール)”という銘柄のワインを造っている。  百年近く前、電力供給衛星“星”を再使用するために呼び寄せた電脳調律師マーリアと結婚するが、マーリアは“星”を殺戮兵器と勘違いした教会の司祭と町の住人によって殺害され、それ以降教皇庁と短生種への復讐を誓うようになる。重税をかけて軍備を増強、“騎士団”の協力によって“嘆きの星”の施設(ハードウェア)をほぼ修復し、帝国に決起を支援してもらうよう依頼に行っていたが、快い返事は貰えなかったらしい。イシュトヴァーン全てを私有財産として直轄下に置き、教皇庁に対して宣戦布告するが、電脳調律師ディートリッヒの裏切りによって“嘆きの星”によるローマ攻撃は失敗。エステルを助けに来たアベルとの闘いに敗れた。最後はラドカーンによって放たれた硝酸銀溶液入りの太矢からエステルを庇い、心臓を撃ち抜かれて死ぬ。  その後、エステルによって名前すら彫られていない小さな墓石の下、一枚の絵と共に葬られた。ROM1 ジョルジオーネ・ルッソ クラブ“INRI”のルーレットのディーラー。フォスカリーナ・コルオーネが恋人だと思っていた男。色事師(カサノヴァ)の仮面をつけていた。 ジョルジュ・ローデンバック ブリュッセルでトレス神父と対峙していたユーグを救出したブリュッセル地方検察局第四課の検事。マフィアやシンジケートの組織犯罪の訴追を担当する。ユーグの父親であるヴァトー警視総監に世話を受けたことがある。 シラー ヴェネツィアの可動堰でイザークが引用した詩人「死の恐怖は死そのものより厭わし」 エリッサ・ダル・シュライト中尉 リリスと共にチュニスを復興させた。吸血鬼たちを酷く嫌っていたらしい。リリスと共に“イブリース”を設置。その死後、“イブリース”のマスターユニットであり、かつては核シェルターとして使われていた“女王の墓所(カブラル・エリッサ)”は物理的に封鎖された。 シルヴェストル十九世 二百七十年前の教皇。第十一次十字軍を提唱するが、十字軍はイシュトヴァーンの東方二百キロ、デプレツェンの地で惨敗・壊滅した。他の教皇同様、サン・ピエトロ大聖堂の地下に眠っている。 スレイマン Surayman 真人類帝国次席枢密司。ティグリス公爵。実年齢は三百歳近い。アベルよりも頭一つ高い。浅黒い肌に優しげな微笑、鞭のように締まった長身、外見は三十前後の男。帝国でも一、二を争う武勲の所有者。副宰相ともいうべき次席枢密司(アルマ・ヴォルニーク)にして、ここ数十年近く国政を支えて来た大諸侯中の大諸侯。“外”に対する深い見識を持ち、八十年前にはミスル太守(ブルカラブ)を努めており、短生種の間に流行した疫病を静めたこともある。偉大過ぎる存在を殺害し、自ら皇帝になろうと狙う強硬派貴族の盟主。 ティグリス公家に伝わる遺産(デバイス)“ソロモンの指輪(イネール・ア・スライマーン)”を持つ。冷却した極少の磁場を高速射出する極磁場解放型デバイス。射出された磁場は、目標の至近まで到達するとその内圧を急低下させるが、このとき、磁場内部に封じられていた空気の塊が急膨張し、断熱膨張を発生させる。急激な気圧の低下は、磁場内の空気を瞬間冷却して凍結させ、加えて気圧の低下により発生した爆発的な大気の流入が脆くなった分子間結合を切断し、一挙に対象を崩壊に導く。鉄塊さえ微粒子レベルにまで噛み砕く凍結粉砕能力。ROM3 女帝(アウグスタ)・セス・ヴラディカ 「汝、夜を統べる者よ 其の可憐なる少女の身に秘めしは、 おぞましき怪物の魔性か すべてを包みこむ慈母の愛か――」 真人類帝国市民。真人類帝国皇帝。クルースニク03。若葉色の瞳、おさまりの悪いボブの黒髪(ブルネット)、透けるように白い小さ目の顔、ちょっと尖った顎、はっとするほどに美しい顔、すっきり伸びた手足は針金のように細かったが、その精気溢れる表情は、どこか人慣れぬ猫科の獣を思わせる、十代も前半としか見えぬ少女。その謁見室は大災厄前のカナダの緑林の初夏を再現している。どこか不思議な威厳を湛えた少女。 高等医学院(メドレセ)の医学士として勉強する隷民であり、小遣い稼ぎにお茶売りをしている。 カイン・アベルの妹で、死海地方で男児につけられる名前であるセスの名をもつ。ROM3 パパ・ゼップ(ゼップ親父) ケルン暗黒街の帝王と呼ばれるギャング。ケルン大学在学中のアントニオ公子に情婦エヴァを寝取られた上、娼館の顧客リストを持ち出されそうになった。面子を潰された仕返しにアントニオを襲撃させる。 RAM3 セリム バビロン伯爵家に仕える扈従士民。ティグリス公による弑逆未遂事件の後、主であるバビロン伯と共にアルビオンに逃れようと一行の最年少。タバコを失火と勘違いしたことから帝国臣民と露見、捕らえられ、その後仲間と共に殺害された。ROM4 ソコルル メンフィス伯を名乗るラドゥらによって徴用された遠洋強襲艦ネレイアデスの水夫長(デマリナール)。胴間声の大柄な男。アガメムノン艦長らと封鎖された船倉の調査に入ったが、自動化猟兵によって殺された。 エマヌエーレ・ダヌンツィオ大司教 Emanuele D'Annunzio 事件後に就任したイシュトヴァーン大司教。五十五歳。先代グレゴリオ三十世当時枢機卿団長であったアルフォンソ・デステの片腕として、四十そこそこで異端審問局局長・教皇官房長などを歴任し、私生活においては数十本の小説と二百余りの戯曲をものにする文学的才能の持ち主だが、あまりに切れ者過ぎて逆にアルフォンソに忌避されて中央から遠ざけられた。その名声はカテリーナ、フランチェスコに次ぐとさえ言われ、嘆きの星事件で荒廃したイシュトヴァーンをわずか一年で復興させた高い政治的手腕を持つが、敵を作り出すことで大衆の不満をその敵に向けさせる手法を取ることがアルビオンの新聞で論評されたこともある。 シェラザードを使って教皇やカテリーナ、聖女エステルを殺害させ、自らの権力拡大を狙うが、露見。異端審問局に捕らえられ、護送中に死亡した。 イシュトヴァーン解放一周年を期に演じられる歌劇『嘆きの星』では広報聖省の全面的バックアップを受けているほか、自ら脚本の筆を執っている。 タブリーズ伯 キエフ侯アストと会見の約束をしていた帝国貴族。ROM3 チャペック大司教 禿げ上がった頭が印象的な初老のプラーク大司教。聖ヴィート大聖堂における慰霊式典後、教皇とカテリーナをアルフォンソ・デステの元に連行しようとするが、看破した派遣執行官らに捕らえられた。 チャンダルル・カラ・ハリル 代々キエフ侯爵家に仕える家令。大柄な老短生種。ROM3 ディートリッヒ・フォン・ローエングリューン Dietrich von Lohengrin 薔薇十字騎士団幹部。位階8=3(マギステル・テンプリ)称号“人形使い(マリオネッテン・シュピーラー)”ゲルマニクス王国海軍中佐でもあるらしい。  触れただけでも砕け散ってしまいそうな危うさと繊細さを感じさせる線の細い典雅な顔に鳶色の髪と長い睫毛を持つ眼をした恐ろしいほどの美形の若者。造化の神が技巧の粋を凝らしたような麗貌。“騎士団”の電脳調律師として教皇庁と短生種への復讐を狙うハンガリア侯ジュラのもとに派遣され“嘆きの星”を復活させたが、ハンガリア侯の意に反して目標を変更、姿を消す。イシュトヴァーン人類解放戦線にも作戦立案の担当として参加、動向を漏らしていた。  人の身体に潜り込むと神経系に勝手に接合して、思いどおりの電気信号を送り出し、身体を自在に操ることが出来る特殊な生体繊維の糸を使う。死体も操ることが出来るようだ。ROM1〜 ティエリー・ダルザス 四伯爵の一人ブリュッセル伯。石炭のように黒い太い眉、猛禽を思わせる鋭い瞳に引き締まった口元をした厳しさを感じさせる黒衣の老人。若い頃の残虐さと強引な手法は、同属たちからすら悪逆無比と恐れられていたらしいが、最近は老け込み、極力トラブルを避ける穏健派とみなされている。RAM1。3 ディケンズ トリスタン号の航法士。RAM1 フェレンツ・ドボー中尉 帝国から逃亡してきたバビロン伯らを捕捉した士官。殲滅直前に連絡を受け、彼らを捕らえる。 ダヌンツィオ大司教の命により、シェラザードに誘拐されたエステルを地下鉄跡で発見、殺害しようとするが、シェラザードの銀の腕の攻撃により、地下水路に落下した。 ROM4 ハイメ・ドメネック博士 カタロニア公国でジェームズ・バレー教授が使っていた偽名。バルセロナの製薬会社ドメネック社の社長。 トレス・イクス Tres Iqus 「主の意に背く者どもに神罰を―― 身に纏いしは、硝煙の香り 奏でられしは、断末魔の叫び 鋼鉄の猟犬は、鎖から解き放たれ、 虐殺の歌劇(オペラ)の幕が、いま上がる。」  Ax派遣執行官HC-IIIX(ハー・ケー・トレス・イクス)“ガンスリンガー”“鉄の女”ご自慢の鋼の猟犬(ガンメタル・ハウンド)。ヴェネツィア事件の五年前、僅か十体で聖天使城(サンタンジェロ)を占拠してのけた殺人人形の生き残り。通常の意味での食餌は必要とせず、生体部品である大脳皮質と小脳の一部の維持の為、月に一度、栄養剤と蒸留水を充填する必要がある。  イシュトヴァーン市警軍第一連隊特務中隊の少佐として潜入、東部辺境でおきた銃撃事件やイシュトヴァーンの動向の情報収集を行っていた。  外見は茶色の髪を短く切りそろえた二十歳前後の小柄な男だが、大脳と脳幹の一部以外を機械化し、形状記憶プラスチックの人造筋肉を対衝撃/難燃性高分子構造の人工皮膚で覆った殺人人形(キリングドール)。黒い僧衣(カソック)を一分の隙もなく着込み、五一二マキシマ弾を放つジェリコM13“ディエス・イレ(怒りの日)”という二挺の世界最大の拳銃を持ち、手首の中には数千度に達するマグネシウムの炎を放つ火炎放射器(フレイムランチャー)や高圧スタンガンが隠されている。必要に応じて装備を付け替えることも出来るようだ。ROM1〜 ガザ伯ナズィム 巨漢の枢密司。 ニケーア子爵 キエフ侯アストと会見の約束をしていた帝国貴族。ROM3 聖ネヴシェフィール フランク王国で猖獗を極めた吸血鬼の軍勢を一夜にして滅ぼした聖人。 ネディム 遠洋強襲艦ネレイアデスの船員。船内で行方不明となり、船倉に載せられていた自動化猟兵の餌となっていた所を艦長アガメムノンによって発見された。。 ROM3 ノエル・ボゥ Noe'lle Bor 元Ax派遣執行官“ミストレス”。光沢のある黒髪に氷のような光を湛えた濡羽色の瞳の妙齢の女性。剃刀(レイザー)を使う。 生物の感情を色彩によって読む能力をもつ。直接相対しているときのみならず、場所に残された感情の痕跡を読み取ることも出来る。 半年前に派遣執行官を引退した後は、聖メルセデス女子修道会に所属していたが、バルセロナのドメネック社内偵のため、社長秘書として潜入していた。ドメネック社社長室でサグラダファミリアの改装計画と“沈黙の声”システムについて調べていた所をイザークが起動した“沈黙の声(サイレント・ノイズ)”システムによって崩壊したビルに巻きこまれて死亡した。 RAM2 バイバルス 真人類帝国禁軍兵団長(イェニチェリ・アースゥ)を努める黒い肌に燃え盛る石炭にも似た瞳を持つ大男。ハルツーム男爵(ジュディチエ)。代々の親衛隊長が帯びる七本の枝を持つ黒い剣“脊髄を砕く者(ズー・アル・フィカール)”を持つ。ミルカとヴラディカの仕掛けた謀に従い、“メンフィス伯をいびって”舞台に上げる。ROM3 ハイレディン 遠洋強襲艦ネレイアデスの船員。船内で行方不明となり、船倉に載せられていた自動化猟兵の餌となっていた所を艦長アガメムノンによって発見された。。いなくなった船倉で悲鳴を聞かれていたらしい。 ROM3 ヴァーツラフ・ハヴェル Vaclav Havel Ax最高の派遣執行官“ノーフェイス”。公式には全て廃棄されたとされている不可視化迷彩を引き起こすロストテクノロジー光学性電磁干渉場(インヴィジブル・フィールド)を使う。緑色の瞳に痩せた顔、短く刈った髭に黒い長髪の神父。元異端審問官。当時の上司と信仰上の見解から異端審問局を離れ、カテリーナの元に仕えることとなった。Axが出来る以前からワーズワース教授、ケイト、アベルらと親交があった。カテリーナの信頼も篤く、ボヘミアやイシュトヴァーンなど政治的に問題のある東部辺境に多く投入されていた。教会の腐敗や青酸ガスのミサイルを使用しようとする教会を見かねて教皇庁を離反。第二次ボヘミア戦役で潜入した異端審問官シスターパウラとの戦いに敗れ、死亡した。 シスター・パウラ 図書館の司書を思わせる物静かな顔の異端審問局副局長であり、“猪”局長ペテロに代わって組織を実質的に動かしている辣腕家。あらゆる暗器を使いこなす天才的な暗器の使い手だが、それは異端者に恐怖を呼び起こすために使っているに過ぎず、素手での戦いを得意とする。、数百人の命を奪った、通称“死の淑女” RAM3 バルザック 公都バルセロナでアベルの前に現れたイザークガ引用した詩人。“情熱を抱いた女は青銅のように強くなる” ウンベルト・バルバリーゴ 初老の士官。東方第六旅団“ユスティニアヌス”所属し、たびたび戦功を立てたが、捕虜と民間人に対する虐殺容疑で告発されたこともある。審問にかけられたところを教理聖省長官であったアルフォンソ・デステ枢機卿救われるなど、彼と親交があったため、新教皇庁の蜂起に際しても真っ先に東方軍を脱けて新教皇庁に参加、東方軍第二十七歩兵連隊大佐となって戴冠式の警備を担当する。しかし、少将への昇進をフランチェスコ枢機卿に約束され、再び新教皇庁を裏切って教皇庁に戻る。RAM3 東部軍でも最精鋭の名の高い教皇庁東方第六旅団“ユスティニアヌス”の指揮官。イシュトヴァーン戦役において第五旅団と共にイシュトヴァーンに侵攻し市警軍に圧勝、第二連隊を追撃していたが、“嘆きの星”の攻撃を受け、交戦中のイシュトヴァーン市警軍と共に消滅した。ROM1 ハンス・メムリンク 栗色の髪に藤色の眼をした貴族的な冷たい感じの若者。自称“漂白の詩人”。四伯爵の一人アントワープ伯。金にあかせて美術品や美女や美少年を買いあさる芸術家志向の男。一度ならずカレルに借金を申し込んでは断られており、カレルとは極めて不仲。真っ赤なタキシードを着ている。感情の起伏が激しく、“芸術活動”と呼ぶ犯罪の後始末を警視総監に数多く差せていた。 十年前にはブリュージュのヴァトー家を襲撃した実行犯だと思われる。 RAM1 ピーター 十をさほども越えていない少年。ネバーランドでの転向実験の失敗作。外に出て、大人になってウェンディを守るためにアベルらに協力する。 RAM2 ピーテル・ファン・デル・ヴェルフ 青サテンの夜会服をまとい、腰に黄金作りでブレードを最硬の複合金属Ω-Ti(オメガ・チタニウム)で造った細剣(レイピア)を佩き、サファイアであやめ(イリス)の花をあしらった指輪をした、商業紳士のような非の打ち所の無い伊達男。薄い唇に長い爪。アムステルダムで起きた神父殺害事件について聞き出す為、シスター・アグネスを襲っていた所を、現れた首を切り落とされてユーグに殺された。アムステルダム伯カレルの弟。RAM1 ピエトロ・ボッロミーニ 元教皇庁聖宝認定局職員。電脳調律師(プログラマー) 趣味の悪い金の首飾りを着けたローマ出身の大男。保管されていた電脳制御言語(ソフトフェア)を無断で複製して着服した疑いによってアベルとエステルに追われていた。カルタゴで魔法使いに雇われて地下水路(カレーズ)で“イブリース”を復活させていた。バアル海運から五十万ディナールの小切手を受け取っていたが、カルタゴの教皇庁大使館に捕らえられ、そこで侵入した“火炎魔人”ラドゥによって殺害された。 やや小さめの胸と幼さを残したエステルが好みらしい。ROM2 ドン・ビリャール バルセロナきっての暗黒街の顔役。鰐のような笑顔を持つ、頬に傷のある巨漢。ドメネック製薬の社長ハイメ・ドメネック(ジェームズ・バレー)に従い、イザークを殺そうと狙っていたが、聖家族贖罪教会(サグラダファミリア・カテドラル)でイザークの使う人造精霊“風精(ジルフィーデ)”によって血を吸われ、ミイラのようになって死んだ。RAM2 ブラザー・フィリポ 異端審問官。異常に背が低く、樽のようにずんぐりむっくりした体型、ぬめぬめと黒光りした肌に両目の間がやけに開いたある種の魚を思わせる外見はレオンにダルマウナギと評される。三十万ボルトの電流の流れる縄[金票](ワイヤーピック)を使う。RAM3 フェロン・リン ダマスカス侯。モルドヴァ公、ティグリス公に次ぐ枢密司(ヴォルニーク)第三席。吊り目気味の切れ長の瞳に腰までの黒絹を思わせる黒髪をたかだかと結い上げた妙齢の美女。モルドヴァ公の死を発表するディワーンでイオンを庇う発言をしたティグリス公に反論した。ROM3 フォスカリーナ・コレオーニ ヴェネツィアの古美術鑑定士マルコ・コレオーニの娘。ぱっちりした目印象的な十七歳の少女だが、付き合っていた恋人ジョルジオーネ・ルッソのことで父親と喧嘩になり、事件の一月前に家出していた。RAM1 フセイン 遠洋強襲艦ネレイアデスの船員。船内で行方不明となり、船倉に載せられていた自動化猟兵の餌となっていた所を艦長アガメムノンによって発見された。。 ROM3 プラーテン サグラダファミリアでドメネック社本社ビルを崩壊させたイザークが引用した詩人“美しきもの見し人は、はや死の手にぞとらわれつ”RAM2 フランチェスコ・ディ・メディチ Franchesco di Medici 枢機卿。教理聖省長官 フィレンツェ公。教皇と下級騎士の妻との間に生まれた庶子にして現教皇アレッサンドロVIII世の異母兄。教皇庁の内政を司る教理聖省長官と、異端審問局局長・教皇軍総司令官の要職を司る違丈夫。筋肉質の体躯に溢れるような精気と触れただけでも撥ね返されそうな闘気を持つ生粋の軍人を思わせる男であり、高い軍事的手腕は楽に一国一城の主となり得るだけの力量の持ち主。軍刀(サーベル)色の瞳をした壮漢。勃興してきた世俗に囚われず、かつての強力な教皇庁を信じる強硬論者として年若い枢機卿の支持を得ている。ROM1〜 ブラザー・ベーラ イシュトヴァーンの聖マーチャーシュ教会にいた中年の修道僧。ROM1 ヘッセ サン・ピエトロ大聖堂の地下でアルフォンソに化けてカテリーナを新教皇庁に誘ったイザークが引用した詩人。“生まれ出ようとする者は一つの世界を壊さねばならぬ(ヴェア・ゲボーレン・ヴェルデン・ヴィスマス・アイネ・ヴェルト・ツェルシュターレン)” ブラザー・ペテロ Brother Petros  本名ピエトロ・オルシーニ。異端審問局局長。教皇庁最強かつ最凶の騎士と言われる強化歩兵。通称“壊滅騎士(イル・ルイナンテ)”  ローマ名門貴族出身。髪を切りそろえ、品良く整った顔の若者で見た目だけなら名家出身の高位聖職者か新進気鋭のエリート官僚のようにみえる。一人称は“某(それがし)”  灰色の修道衣を身にまとい、身の丈ほどもありそうな長さに五十キロを超える重量を持つ鎚矛“叫喚者(スクリーマー)”を持つ。鎚矛は内臓された高周波ホイールが回転して触れたものを超振動によって対象をこなごなに砕く力があり、ホイールだけをワイヤー誘導で投擲することも出来る。体にまとった自律式戦闘補助システム“聖騎士の聖衣(ガーヴ・オヴ・ロード)”の背中からは四本の細い副腕(マニピュレーター)が突き出ており、それがかざした盾が攻撃を受け流す。また、教理聖省で開発した反応促進剤を注入することで、吸血鬼の加速のような能力を得ることも出来る。  四年前のボヘミア戦役において、反乱を起こしたフス派異端軍一個中隊と自軍二個中隊をたった一人で壊滅させた味方殺しの強化歩兵。  先々代異端審問局長ダヌンツィオ大司教他三人には頭が上がらないらしい。 カルタゴにおける砂漠の女王事件においてカルタゴの警備、イシュトヴァーンの事件においては一周年記念慰霊式典の枢機卿フランチェスコの名代としてに現れる。ROM2〜 ヘルガ・フォン・フォーゲルワイデ伯爵夫人 氷の魔女(アイス・ヘクセ) 薔薇十字騎士団において、ディートリッヒと同位の8=3(マギステル・テンプリ)の一人。レーザー冷却装置“マクスウェルの魔杖”を持ち、マイクロマシンを混ぜた水や氷を自在に操る。第二次ボヘミア戦役での新教皇庁の壊滅に対してイザークの不手際と発言していたらしい。アンハルト伯爵夫人クリスタとして、エストニア伯国に逃れたデステ大司教の元にAxを導くが、最後に失敗。クルースニクとなったアベルに敗れかけるが、毒竜の王とジークリンデに救われる。以降、新教皇庁事件を一任されることになったようだ。 ボルゲーゼ少将 東部軍でも最精鋭の名の高い教皇庁東方第五旅団“コンスタンティヌス”の指揮官。第五旅団と共にイシュトヴァーン戦役に参加し、市警軍第三連隊を殲滅する。ROM1 マーカントニオ・ブラスキ少佐 灰色の石柱を思わせる長身に鋼玉色の義眼を持つ教皇庁東方第六旅団“ユスティニアヌス”所属の第二十八機械化歩兵(マシナリー)大隊金角騎士団の指揮官。全身の八割を機械化させ、吸血鬼に匹敵する戦闘力を与えられたサイボーグだが、イシュトヴァーン市警軍との闘いでは出番がなく、“嘆きの星”による攻撃を受けて消滅した。ROM1 マーリア 波打つ黒髪に青い瞳の貴婦人。もともとハンガリア侯ジュラが電力供給衛星“星”を再使用するために呼び寄せた電脳調律師だったが、短生種でありながらそのまま彼の妻となった。しばしば出かけては東街区の住民に菓子や薬を配っていたが、ペストが流行ったときに薬を配りに行き、そこで教皇庁から派遣されて来た神父と扇動された街の住人に焼き殺された。ROM1 マイケル・ダーリング RAM2 アルビオン王国ロンディニッウム市出身の少年。吸血鬼との遺伝的繋がりは皆無だが、半年前に福祉施設から児童誘拐専門のシンジケートに誘拐され、行方不明の間に転向した。アルビオン北方海域で貨物船を襲撃し、乗り合わせていた民間のハンターによって殺された。 ブラザー・マタイ 異端審問官。おさまりの悪い黒髪に細い目、温和を絵に描いたような、理科教師めいた風貌の好青年。部隊指揮をさせれば教皇庁随一とされる。 マリー・ファン・メーレン 四都市同盟の警視総監ヤンと妻ラシェルの娘。日溜り色に輝く金髪に細い顎をした、母ラシェルに売り二つの娘。 マリオ・コルトーナ司教 駐カルタゴ教皇大使。八の字髭。ROM2 マリス・ザドロフシュカ コナヴリ村における二十二件の殺人および血液強奪の容疑者。雪花石膏のような白い美貌と腰まである長い金髪、薄いシルクのドレスをまとい薄桃色のルージュを引いた女。吸血鬼の血を吸う吸血鬼によって血を吸われて滅ぼされた(?)ROM1 マリーノ・ファリエル ヴェネツィアの可動堰を訪問していたカテリーナの衛士隊長を努めた巨体の男。可動堰の中に現れたイザークに向けて拳銃を放つが、逆に頭部を砕かれて死んだ。RAM1 マルコ・コレオーニ ヴェネツィアきっての古美術商兼鑑定士である初老の男。宗教美術や聖遺物鑑定の権威だが、帝国の大量殺戮者ザグレブ伯エンドレに一家を皆殺しにされ、その血でエントランスホールの床一杯に巨大な逆十字と“我ら、炎によりて世界を更新せん”の文字が描かれていた。カテリーナの圧力によって警察介入前にアベルとアストが調査に入った。思慮深げな妻、忠実な長男、長男の貞淑な妻と生まれたばかりの赤ん坊、年の離れたやんちゃな次男と他に娘フォスカリーナがいるが、皆エンドレに殺された。娘を人質に脅迫され、聖マルコの聖体鑑定を偽った。RAM1 ミクローシュ・ロジュナイ イシュトヴァーンの薬局の主。バトラーがシェラザードのために血液製剤を手に入れた店の主。ROM4 ミマール・スィナン 数年前までモルドヴァ公家に仕えていた扈従士民(ケトゥ・ボイエール)であり、帝都の薬屋通りの角で国家士民(ケトゥ・ツァラ)として薬物商を営む男。ローマから強硬派を避けて秘密裏に帰国しようとしたイオンをガザから帝都まで便乗させた。ラドゥの誘惑によりイオンを裏切り、その情報を流していた。帝都帰還後、機械化猟兵に襲われ、ラドゥの名をイオンに告げて息絶える。 ミリス・ザドロフシュカ コナヴリ村における二十二件の殺人および血液強奪の容疑者。雪花石膏のような白い美貌と腰まである長い金髪、薄いシルクのドレスをまとい紺色のルージュを引いた女。吸血鬼の血を吸う吸血鬼によって血を吸われて滅ぼされた(?)ROM1 ミルカ・フォルトゥナ 大諸侯モルドヴァ公爵(ヴォイヴォーナ・アル・モルドーヴァ)であり、帝国宰相ともいうべき主席枢密司(デーク・ヴォルニーク)を努める。メンフィス伯イオンの祖母にあたる。身の丈ほどもあるしっとりと輝く金髪をポニーテールにまとめ、赤銅色の瞳、愛くるしい少女の顔をした最大の帝国貴族。 強硬派を燻し出すため、孫を利用して自らと皇帝暗殺事件を仕組む。皇帝不在の間、姿が見えないのを利用して、皇帝の代理を務めていたようである。 禁軍隊士すら、彼女の元に使いに出されるのを死ぬほど恐れるという。しかし、皇帝暗殺未遂事件以後は、その役目はバイバルス卿に一任されたようである…。 モルドヴァ家の家章は“車輪(わだち)踏む一角獣” ミレーユ・マンソン “悪の華”のメンバーである尼僧服の女吸血鬼。エリスを迎えるはずだったシスター・ルイーズに化けてエリスを連れ去るが、クルースニクを起動したアベルに敗れ、最後の力でエリスを殺そうとするが、トレスによって脳幹・頚椎・心臓を破壊されて滅びた。 シスター・モニカ・アルジェント Monica Argento Ax派遣執行官“ブラックウィドウ”。物質透過能力を持ち、人狩り(マンハント)を専門とする。ミラノ公の半径百キロ以内の任務に着かせることは危険であり、また半径百メートル以内では能力の使用を禁止されている。聖女誘拐事件に際してイシュトヴァーンに召喚された。短く刈った黒髪に禍々しいまでに赤いルージュ、雌豹を思わせる碧瞳をもつ美女。はだけられた僧衣の胸元には薔薇の蔦をかたどったチョーカーをつけている。二本の五指剣(チンクエデア) シチリアの“我らが家(ノーザ・コストラ)”でも名門(カーポ)中の名門に生まれ、幼い頃より他者の生命を断ってきており、三桁に上る命を手に掛けているが、カテリーナの殺害に失敗、チョーカーを首につけられ、派遣執行官となったらしい。ROM4 モーリス・バレス ケンプファーがヴェネツィアで引用した往古の詩の作者 「ラグーナの下に眠れ、ヴェネツィアよ。夜を流るるはわだつみの闇。永遠(とわ)の死を謳うはただ砕ける波」 ジロラモ・モンテセッコ特警大尉 ローマでアルフォンソを銃撃しようとした神父アベルを護送し、尋問を行ったが、レオンとトレスの攻撃を受けて倒れた。 その後、サン・ピエトロ広場で方柱を破壊に向かったレオンが名前をこの名乗った。 ブラザー・ヤコブ ローマでアベルが鐘を狙って銃撃した際に立ちふさがり、方柱破壊に向かったアベルたちの前に立ちふさがった異端審問官。顔を仮面で覆い、日本の直刀を持つ。 ヤン・ファン・メーレン ヴァトー家の姻戚だった傭兵貴族ファン・メーレン家の主。おさまりの悪いオレンジ色の髪、茶色の瞳、ありていに言えば醜い顎の張ったいかつい容貌に逞しい長身の隙のない男。剣士としても卓越した技量を持つ。三十そこそこに見える。 副総監としてヴァトー家の警視総監職を狙っていた彼は、内部情報を持って吸血鬼に依頼してヴァトー家を襲撃させた。その惨劇の直後、混乱する同盟の治安を回復させた功績で歴代最年少の四都市同盟警視総監となった後も、四伯爵ら吸血鬼の犯罪の後始末をさせられていた。おかげで、四伯爵の猛威を抑えきれず、同盟内での評価は低下しつつあった。ユーグと再会し、ハンス・メムリンクが殺された後、警視総監を辞して引っ越した。 ユーグ・ド・ヴァトー Hugue de Watteau Ax派遣執行官“ソードダンサー” ブリュージュの生まれで、低地地方(ネーデルラント)の伝説的な傭兵貴族ヴァトー家の出身。十年前に吸血鬼の襲撃を受けて、両親は殺されて妹アニエスはさらわれ、自らは両腕を切り落とされている。両腕は再生しているが、まだ自由が利かないこともあるようだ。対象の動きを完全に予測し、百パーセント最適化された行動によって、人間でありながら戦闘状態の吸血鬼と互角以上に戦う事が出来る。 翠色の眼に低地地方(ネーデルラント)に多い色素の薄い金髪の下、憂愁の色を湛えた秀麗な白い顔を持った二十代半ばほどの男。鞭のような引き締まった筋肉に覆われた体は長く深い刀疵が走っている。長い鉄棒に仕込んだ優美な曲線を描く薄い刃の長刀を持つ。鞘の反対側にはもう一本小太刀が隠されている。 四都市同盟の警視総監職を務め、最大の軍事力兼厳正優秀な警察力として治安維持に辣腕を振っていたが、九年前にブリュージュにあった居城が大規模な吸血鬼の襲撃を受けて、当主以下一族郎党の主だったメンバーが皆殺しにされてしまった。 復讐のため、カテリーナの命令を無視して行動し続け、トレス神父の手からも逃れたことで僧籍を剥奪されてしまう。RAM1〜 ヨハネ・パウロ二世 “大災厄”以前、世界の半分を支配していた社会科学的無神論(コミュニズム)と戦った教皇。他の教皇同様、サン・ピエトロ大聖堂の地下に眠っている。 ヨハン ラシェルがユーグの居場所を探させた二人のゴロツキの一人の大男。ユーグの攻撃を受けて倒れた。 ラドゥ・バルフォン Radu Barvon 真人類帝国副勅使。ルクソール男爵(ジュディチエ・ア・ルクソー)・帝国直轄監察官(カマラーシュ)。位階6=5“炎の剣(フランベルク)”  皇帝がスフォルツァ枢機卿に使者を送ることを知り、それを阻止しようと騎士団にコンタクトを取って騎士団の一員となった。“イブリース”と呼ばれる気象兵器を復活させた電脳調律師ボッロミーニを暗殺し、カルタゴ訪問中の枢機卿と皇帝勅使イオンの暗殺を狙う。ラグエルの気嚢上でイオンと闘い、夜明けの光の中、ブラザー・ペテロの鎚矛の攻撃とトレス神父の銃弾を受けて海に転落、その死体はディートリッヒとゲルマニクス海軍の高速潜水艦(Uボート)“海狼(ゼー・ヴォルフ)”によって回収され、皇帝暗殺計画の駒としてディートリッヒにその肉体を利用されて帝国に戻る。肉体は耐久力。戦闘力を高められ、掌の分泌腺だけでなく、全身の血液に発火能力を持たされていたが、セスの音の炎によって真っ白な煙となって滅びた。 青銅色の瞳に、限りなく黒に近い青髪に白い顔をした二十代半ばほどの若者。複雑な姻戚関係によってどこか翳りを含んだ美貌がイオン兄弟のように似通っている。ローマ公用語はイオンよりも遥かに流暢。  阿片を溶け切れないほど入れた生命の水を好み、イオンに入れた生命の水もイオンの好みより阿片が多かったらしい。ROM2 ラシェル・ファン・メーレン かつてユーグの許婚であり、ユーグが行方不明となった後は、ヤン・ファン・メーレンの妻となり、娘マリーを設けている。都市貴族特有の淡い金髪、長い睫毛に沈んだエメラルド色の瞳、ほっそりした体が印象的な妙齢の女性。 ラヨシュ イシュトヴァーン人類解放戦線の戦士。ジュラの屋敷を襲撃したが、太矢(クォレル)を突き刺されて殺された。ROM1 リーガ クールラント伯。 リプシェ公女 “プラークの緑珠(ゼレニー・プラーハ)”と呼ばれて国民的な人気を集めるるボヘミア公女。新教皇庁事件前の教皇のプラーク訪問でボヘミア公夫妻と共に聖体拝領を受ける。 リュステム・ビン・シャダード ミケーネ伯アガメムノンの士民として帝国海軍に入った初老の男。帝国海軍(フォルテ・ナヴァーレ)の遠洋強襲艦(カラミュゼル)ネレイアデスの副長(デオフィテール)として乗務し、帝国全域を我が庭のように往来して来た大ベテランで、飛び抜けた胆力で艦長アガメムノンから全幅の信頼を受けていた。 行方不明になった船員を探す為、艦長と共に封鎖された船倉に向かうが、自動化猟兵によって殺された。ROM3 。 リリス “イブリース”に残されたビデオファイルに画像が残されていた女性。紅茶色の髪を結い上げ、額に朱点(ビンディー)を差した褐色の顔、金色に輝く不思議な色合いの瞳をした女性。体に密着したシャツの上にサリーと呼ばれる地方衣装をまとっていた。 シュライト中尉と共に復興したチュニスを襲撃したアベルと吸血鬼達を滅ぼすため、“イブリース”を設置し、アベルが現れた場合のみ使用できるイブリースの停止コードを残していた。 遥か昔に宇宙船内?で“あのお方”に喰い殺されたらしいROM2 ルイ・ブラント ヤン・ファン・メーレンの辞職を受けて新たに同盟警視総監に任官した中年男。前の副総監であり、実務能力は高く評価されていたらしい。 シスター・ルイーズ ケイトの手回しによってエリス・ワイズマイヤーを迎えに来たシスターだが、エリスは一足違いで“悪の華”の吸血鬼ミレーユに連れ去られてしまった。RAM1 ルチアーノ・リッジョ 教皇庁の強化歩兵上がりの職業的暗殺者。灰色にくすんだ顔に、特殊な薬物強化によって黄褐色に変色した両腕を持つことから、“黄手袋(グァンティ・ジャッリ)”の名を持つ。仕事料はきわめて高額だが、その軍刀に狙われて生き延びたものはいないといわれる。その残虐な仕事振りで、この世界では知らぬ者とてない。ティエリー・ダルザスに雇われ、彼を狙うユーグを狙うが、グレネードランチャーの銃口にトレス神父の銃弾を受けて爆死した。 RAM3 レオン・ガルシア・デ・アストゥリアス Leo'n Garsia de Asturias Ax派遣執行官“ダンディライオン”RAM2 南方系特有の浅黒い顔に、しなやかに引き締まった巨躯、獅子の鬣を彷彿とさせる伸び放題の黒い蓬髪。大型の肉食獣を思わせる風格を備えた男。“金さえ出せば、飛行機から棺桶まで調達できる”と豪語する。まだ三十路前。ケイトによれば、半径三メートル以内に近付くと、うまでも妊娠してしまうという話。神父と生野菜は死ぬほど嫌いだそうな。 元ヒスパニア軍人。後方撹乱と爆薬操作を得意とし、特殊部隊を率いた。モロッコ独立戦争の海峡戦役にも参加して、タンジール攻略戦では傭兵“モロッコの悪魔(ディアブロ・デ・マルエコス)”(ブラザー・マタイ)を破っている。その後、妻、大司教を含む聖職者三十名を殺害し、死刑判決を受けるが、刑の執行直前に恩赦を受けて千年の禁固刑に処されている。そこで国務聖省長官だったカテリーナに救われ、以降Ax派遣執行官として減刑と引き換えに仕事を請け負っていたようだ。 単結晶構造セラミックスに銀分子を蒸着コーティングした極薄の戦輪(チャクラム)を使う。 七百年以上の刑期を持つ罪人として二十年の減刑と引き換えに妖精事件を手がける。 レッシング 第二次ボヘミア戦役の後、“塔”でイザークが引用した詩人。「いつも勝者が敗者の歴史を書き、生き残った者が死者たちの歴史を書くのである。」 マケドニヤ公レヤード 枢密院中最年少の枢密司。 レン・ヤノーシュ伯爵令嬢 アストの相棒(トヴァラシュ)。アストが人質に取られたため、エンドレの言葉にしたがって武器を捨てたため、エンドレに首を切り落とされた。 ローラ・ヴィテーズ イシュトヴァーン市内にある唯一の教会聖マーチャーシュ教会で三十二人の聖職者を束ねる女司教。三十路にしては若々しい女性。ローマから赴任してきたアベルを迎えた。ハンガリア侯のイシュトヴァーン直轄宣言の際、アベルを匿った罪で捕らえられ、他の聖職者と共に殺害された。ROM1 ロズウェル副長 トリスタン号の副長。マインツ伯アルフレートに娘を人質に取られ、アルフレートをトリスタンに乗船させる。しかし、娘は既に殺され、自らも船内でアルフレートに殺されてしまう。RAM1 シスター・ロレッタ 国務聖省本庁舎“剣の館(パラッツォ・スパーダ)”に努める長官秘書官。カルタゴでカテリーナの元にいたシスター。大使館に詰めかけていた群集を中に入れるように命じられる。ROM2 ワルター・シューマッハ ケルンのギャングパパ・ゼップの娼館の顧客リストに載っていた人物。アマーリエ、四月十七日、金二千と記載されていた。 RAM3 ************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************* アイアンメイデンII 教皇庁国務聖省特務分室所属の巨大な空中戦艦。優美な曲線で構成された船体は、美しく、瀟洒ですらある。純白の船体には血の色でローマ十字と「Arcunum cella ex dono dei(教皇庁国務聖省特務分室)」の文字が染められている。艦長はシスター・ケイト。 自動化猟兵(アオト・イェーガー) 長生種の前頭葉を摘出して電動知性で補完、目を糸で縫い合わせ、口には拘束具をはめられた殺人人形。 生命の水(アクア・ウィタエ) アクラシエル 教皇庁教理聖省異端審問局所属の空中戦艦。カテリーナがカルタゴでの護衛を依頼したのを受けて、ルファエル、ラグエル共にカルタゴに来訪した。 大災厄(アルマゲドン) 核と細菌兵器により、危うく人類が絶滅しかけた千年前の災い。 イシュトヴァーン 東部辺境遅滞と“帝国”との境界に位置する独立都市国家。建前上は市議会による市政が行われているが、実際はハンガリア侯によって統治されている。大昔には“ドナウの真珠”と呼ばれていた。 異端審問官 神と教会にのみ忠誠を誓い、教義にわずかでもそぐわぬ存在はただちに悪とみなし、糾弾し、たとえ相手が女子供と言えども即座に殲滅して、それを誇りとしてきた教皇庁子飼いの戦闘者。この一世紀の間ですら滅ぼされた街は十や二十ではない。教会法(カノン)第四条に基づき、吸血鬼の殲滅が確認されるまで、各地方自治体から制限を受けることはない。 紋章は雷霆とハンマーを組み合わせた“神の鉄槌(ヴィネア・ドムニ)” 火炎魔人(イフリート) 発火能力を持つ吸血鬼。カテゴリーF。汗腺の代わりに角質化した皮膚に開いたグリセリン腺とナフサネート腺と呼ばれる二種の分泌腺があり、体内で生成された塩素酸カリウムを含むグリセリンと特殊な嫌気性細菌を含む高純度のナフテン酸(ナフサネート)を分泌され、皮膚上で混合される。ナフサネート中の嫌気性細菌が大気中の酸素に触れて急速に死滅、高熱を発しながら酸化する死骸によってグリセリンに含まれる塩素酸カリウムが発火し、教会軍が焼夷弾に使用するナパーム液の八十倍にも達する強燃性のナフサネート・グリセリン混合液(カクテル)に燃え移り、火炎放射器となる。 しかし、角質化した掌以外は炎に対して耐性がある訳ではない。 恋する乙女(インナモラータ) ヴェネツィアの謝肉祭でアストが被った仮面。 教皇庁(ヴァチカン) ローマを本拠とする汎国家機関。聖天使城(カステル・サンタンジェロ) 吸血鬼(ヴァンパイア) 長生種・帰還者(メトセラ) “大災厄”の後に突如現れた異種知性体。吸血鬼(ヴァンパイア)、血吸い野郎(ブラッドサッカー)、化け物、呪われた悪魔 大災厄の後に忽然と出現し、優れた技術と怪物じみた力によって、人類を支配しようとしたが、教皇庁が人類を結集し、数多くの奇跡に守られたことによって、人類の云う文明社会からはほぼ駆逐された。 生まれつき不老という訳ではなく、人間と同様に歳をとり、太陽や銀に傷つくことも無い。“覚醒”と呼ばれるプロセスを経ると、吸血鬼化すると同時に外見年齢もそこで止まる。 三百年を超える寿命と無敵の生命力、高い免疫機構を備えた種族。渇きと呼ばれる先天的貧血症を持ち、血液を摂取し、胃壁から毛細血管に吸収する。血中バチルスの活動が休眠状態に入った状態の長生種は人間と生理的に変わらない状態となってしまう。 その戦闘力は完全武装した人間の軍隊百人・一個中隊に匹敵する。弱点は紫外線と、血中バチルスの活動を停止させてしまう銀、また脳幹や心臓、頚椎を破壊されると再生は難しい。殆どの毒物は効かないが、細胞への酸素供給を阻害するシアン化化合物のみは吸血鬼を人間並みの速さで死に至らしめる。 移住した火星で変質し、帰還した存在? マインツ伯アルフレートによれば死人の血はまずくて飲めないらしい。 吸血行為の被害者が吸血鬼化する確率はわずかに0.1パーセント。 血の丘(ヴェールヘジェン) ハンガリア侯爵領イシュトヴァーンの西街区(ブダ)の丘。ハンガリア侯爵の屋敷や政治犯収容所があり、そこへ連れて行かれて帰ってきた者はいない、 オメガング号 ティエリー・ダルザスの貨客船。 聖天使城(カステル・サンタンジェロ) 特務警察(カラビニエリ) 黒い野戦服の戦闘要員。短身小銃(カービン)と機関拳銃(マシンピストル)で武装し、ベレーに“神の鉄槌”の銀バッジをつけた、異端審問局傘下の対テロ特殊部隊。 渇き 長生種特有の先天的貧血症。周期的に襲ってくる血中バチルスが宿主の赤血球を破壊することによって起こる血中の赤血球数の急速な減退が強い吸血衝動をもたらし、発作の最中は理性を失ってしまう。一旦狂暴化した長生種をとめることはまず不可能。 クルースニク ナノマシン。 血中バチルス 長生種の血液中に存在する容血性棹上細菌群(バチルス・クドラク)は長生種の超人的な力の源であるが、銀分子に触れると一時的に活動を停止させてしまう性質があり、宿主である長生種にとって銀を体内に取りこむことは猛毒を飲むに等しい致命的行為となる。 ゴリアテI 全長十メートルを超える巨大な電動知性(コンピューター)制御式の最新鋭無人戦車。発掘復元されたロストテクノロジーをふんだんに投入し、主砲に五十ミリカノン砲、劣化ウラン弾を放つ二基の回転砲塔に三十ミリ機関砲を装備している。カルタゴ全軍とさえ互角に渡り合える戦力であり、昨年、教皇庁が十輛だけ就役させた。 サンダルフォン 教皇庁の空中戦艦 影鬼(シャーテン・コボルト) イザークが洒落で造った人造矮人(クンストリッヒ・ツヴェルグ)。両生類を思わせる頭部には目も鼻も無いが、顔にあたる部分に赤い裂け目が走り、鋭い牙が生えている。醜悪に歪んだゴム人形のような影。 龍騎士(シャールカーニュ) イシュトヴァーン軍籍武装飛行船(空中戦艦)。 シャルルマーニュ フランク王国の巨大飛行船。 硝酸銀溶液 聖水。 聖ステファノ騎士団 教皇庁第十四装甲歩兵大隊。東部辺境国境近くに配置されていたが、イシュトヴァーン市警軍による攻撃を受ける。 対紫外線コートジェル 陽光中の紫外線をほぼ完全に遮断し、吸血鬼でも昼間の戸外を歩くことを可能とする。人類社会では厳重に管理され、滅多にお目にかかれない。 女王の涙(ダムアル・エリッサ) カルタゴワイン(サディサァド)。電脳調律師ボッロミーニが泊まっていたホテルで一番高いワイン。 真人類帝国(ツァラ・メトセルート) この時代の人類生存圏のほぼ東半分にあたるカルパチア山脈の東から黒海沿岸までを領域とし、豊かな国力と多数のロストテクノロジーを駆使する技術力を持つ国家。“大災厄”から復興を歩む人類に残された最後の脅威であり、人類社会の盟主である教皇庁にとっては最大の敵手。皇帝以下、全ての貴族は長生種であるが、皇帝自身は戦争を望んでいる訳ではなく、対話を望んでいる。 国章は、大小二つの月を意匠した『重なる双月(デュオサテル)』。 重なる双月(デュオサテル) 大小二つの月を象った帝国の国章。 テラン 短生種・地球人・残留者。所謂人間。 二重影(ドッペルゲンガー) 体表面の細胞配列を変換することで自在に容姿を変える特異能力を持つ吸血鬼。 飛行貨客船トリスタン ロンディニウム・ローマ間を航行する世界有数の豪華飛行船。全長二百五十メートル、ヘリウムガス容積二十万立方メートル。直径十三メートルの二重反転式(コントラ)プロペラによる毎時百五十キロの高速と、充実した船内サービスは他船の追随を許さないアルビオン王国が誇る飛行船。キャサリン・ラング博士が設計した自動制御システムは電動知性を大胆に用いた省略化により、運航要員は従来のわずか十分の一となり、操船要員は僅か五人のみ。百人以上が乗っている。 “黒い聖女(ナイア・サンクタ)” 教皇グレゴリオ二十世に数々の啓示と預言を授けたとされる。 嘆きの星 “大災厄”前のロストテクノロジーで、“大災厄”そのものを引き起こしたとも云われる強力な兵器の一つ。  その正体はロストテクノロジーの粋を集めた自由電子レーザー照射衛星。月面にある太陽発電モジュールからマイクロウェーブの形で電力を受け取り、レーザー光として地上に送電する電力中継衛星。低衛星軌道上を秒速四千メートルで周回し、毎秒二十回のエネルギーパルス発振によるレーザーを発射する。そのエネルギー総量は約八百ギガジュール、百万トンの高性能爆薬に匹敵する。“大災厄”から生き残っている最も古い電動知性(コンピューター)のひとつであり、“大災厄”後にジュラの祖先が設置したとも言われる。  これの復旧を大量殺戮兵器の開発と邪推した教会によって、電脳調律師だったマーリアは殺害され、ハンガリア侯はこれを切り札に教皇庁に挑戦する。 ナサギエル 教皇庁の空中戦艦 バアル海運 カルタゴ事件の八年前に設立された交易会社。一切業務は行っておらず、設立発起人も全て実在しない、帝国のダミー会社。 バアル・ハンモン 帝国海軍総旗艦。皇帝の御座船。総排水量二万トンの巨大戦艦。 妖精(フェアリー) 背中に展張した腹肺からの排気によって高速飛行を行う特異能力を持つ吸血鬼。背中から昆虫の薄羽根に酷似した透明な突起 二つ目の月 二十九日間で満ち欠けを繰り返す一つ目の月と違い、三百六十五日昼夜を問わず常に南の空に輝く小振りな月。 加速(ヘイスト) 長生種にも多大な消耗を強いる。異常分泌されたカリウムとナトリウムが全身の神経に炎症を生じさせ、虚血状態に陥った筋肉は力を失い、切り刻まれるような激痛が全身を襲う。 ミドガルド・シュランゲ ゲルマニクス王国の巨大飛行船。 医師(メディコ) ヴェネツィアの謝肉祭でアベルがかぶっていた仮面。 ユダヤの王ナザレのイエス(Iesus Nazarenus Rex Iudeorum) ラミエル 教皇庁の空中戦艦。 ラグエル 教皇庁教理聖省異端審問局所属の空中戦艦。カテリーナがカルタゴでの護衛を依頼したのを受けて、ルファエル、アクラシエルと共にカルタゴに来訪したが、ラドゥに奪われる。天国において天使の非違を調査・糾弾する天使の名を戴く。 ルファエル 教皇庁教理聖省異端審問局所属の空中戦艦。カテリーナがカルタゴでの護衛を依頼したのを受けて、ラグエル、アクラシエルと共にカルタゴに来訪した。 “我ら、炎によりて世界を更新せん(Igne Natura Ronovatur Integra)”