ミルチャ (Mircea)
(?〜1447)

 ワラキア公ヴラド二世の長男。母はモルドヴァ公アレクサンドル善良公の娘。
 1442年、父ヴラドがフニャディ・ヤノーシュ率いるハンガリー軍の攻撃を受けてトルコに亡命、捕らえられた際、暫定的に公位についているらしい。
 1443年のキリスト教国連合軍とトルコ軍との戦いにおいて終始先陣を切って勇猛果敢に戦い、かつて祖父ミルチャ老公が多大な犠牲を払って築いたジウルジウ城塞の奪還に成功している。しかし、翌年にはヴァルナの戦いで大敗を喫し、総指揮官であったヤノーシュを批判して解任させたことから彼の恨みを買うこととなる。
 1447年、侵攻して来たヤノーシュ率いるハンガリー軍の攻撃を受けて首都を脱出するが、国内の地主貴族に捕らえられてトルゴヴィシュテに連行された後、自分で墓穴を掘らされた上、生き埋めにされたと云われる。
 その後、共同墓地に埋葬されていたミルチャは、政権を取ったヴラド三世によって掘り出され、葬儀を行った上で教会に埋葬し直された。掘り出されたミルチャの遺体は、首を捻じ曲げて、背中に顔を押しつけるような、生き埋めを窺わせる姿勢であったと云われている。


(1) ヴァンパイアに転化するのなら、ヴラド三世より条件は揃っていそうだが。