ペトロネラ (Petronella)
(?〜95?)

 使徒ペトロの娘。美貌の持主であったため、父ペトロは娘を熱病にかかるように祈ったため、ペトロネラは高熱を発して床についていた。あるとき、弟子ティトゥスが何故娘を治さないのかと問うと、その方が娘のためであるが、治せないと思われても困るとして、ペトロネラに起き上がるように言うと、彼女は元気になって食事の給仕をしたが、それが終ってペトロが寝床に戻るように言うと、再び高熱を発したという。
 その後、ペトロネラの神に対する愛は完全であるとして、ペトロによって健康な身体に戻された。

 フラックスという代官が、ペトロネラの美しさに魅せられて、妻になってくれるように申し出た。ペトロネラは、三日待つように言うと、断食と祈りを初めて三日後には天に召された。騙されたことに気付いたペトロネラの友人であるフェリクラを妻にしようとしたが、彼女が応じなかったため、フラックスはフェリクラを拷問の上殺害したという。


(1) ペトロの娘であるため、教会の長女と名乗るフランスの保護聖人とされる。
(2) 一世紀頃に殉教者としてペトロネラがいたことは確からしい。ローマ最大の地下墓地ドミティラ・カタコンベにその墓があったことから、四世紀頃から崇敬された。その名前からペトロの娘という伝説が生まれたようだ。その後、教皇聖パウルス一世(位757〜767)によって遺骨はヴァチカンのサン・ピエトロ大聖堂に移された。