2010,07,19, Monday
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2007,11,17, Saturday
トレイシー・ウイルキンソン:著/矢口誠:訳/文芸春秋
(法王は言った。「悪魔は実在する」 前ローマ法王ヨハネ・パウロ二世は、その在任中に、三度エクソシストとして悪魔祓いの儀式を行っている。なぜ、中世の遺物であった悪魔祓いの儀式が現代において復活したのか?
それは人間が生み出したものなのか? それとも本当に実在するのだろうか? 現在の法王であるベネディクト16世は、就任直後の一般謁見演説で、エクソシストたちのグループを称賛しこう述べた。「私はあなたたちを称賛します」。ローマ教皇庁立のレジーナ・アポストロールム大学ではエクソシストになろうとしている司祭たちのための講座ももうけられるようになった。)
著者はLAタイムズローマ支局長の女性とのこと。カトリックの司祭自体は叙任の時点で祓魔師としての権能を授けられてはいるが、実際に悪魔祓いを行うのは、一部の専門家である。ローマを有するイタリアでは、多くの悪魔付きが発生し、一般的に悪魔祓いが行われているという。
本書は悪魔祓いを実際に行っている司祭たちへの取材により、悪魔祓いの実態だけでなく、司祭それぞれの立場や悪魔に対する意識の違い、あるいは精神病と悪魔憑きとの峻別の難しさや悪魔祓い自体による催眠誘導の恐れなどからくる教会内部における対立まで記されている。
根幹に関わる問題ながら、現代の科学世界において説明のつかない要素である悪魔の存在。明らかでないながらも悪魔祓いの数は増え続けている。
なお、日本における事例は無いようだ。

(法王は言った。「悪魔は実在する」 前ローマ法王ヨハネ・パウロ二世は、その在任中に、三度エクソシストとして悪魔祓いの儀式を行っている。なぜ、中世の遺物であった悪魔祓いの儀式が現代において復活したのか?
それは人間が生み出したものなのか? それとも本当に実在するのだろうか? 現在の法王であるベネディクト16世は、就任直後の一般謁見演説で、エクソシストたちのグループを称賛しこう述べた。「私はあなたたちを称賛します」。ローマ教皇庁立のレジーナ・アポストロールム大学ではエクソシストになろうとしている司祭たちのための講座ももうけられるようになった。)
著者はLAタイムズローマ支局長の女性とのこと。カトリックの司祭自体は叙任の時点で祓魔師としての権能を授けられてはいるが、実際に悪魔祓いを行うのは、一部の専門家である。ローマを有するイタリアでは、多くの悪魔付きが発生し、一般的に悪魔祓いが行われているという。
本書は悪魔祓いを実際に行っている司祭たちへの取材により、悪魔祓いの実態だけでなく、司祭それぞれの立場や悪魔に対する意識の違い、あるいは精神病と悪魔憑きとの峻別の難しさや悪魔祓い自体による催眠誘導の恐れなどからくる教会内部における対立まで記されている。
根幹に関わる問題ながら、現代の科学世界において説明のつかない要素である悪魔の存在。明らかでないながらも悪魔祓いの数は増え続けている。
なお、日本における事例は無いようだ。
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2007,04,30, Monday
デイヴィッド・ヤロップ:著/徳岡孝夫:訳/文芸春秋
(即位から33日目の教皇ヨハネパワロ一世が急死した。その死を望んだのは?執拗な取材で陰謀の実在を立証してゆく。息をもつかぬサスペンス・ノンフィクション。)
多額の献金を集めるバチカン資産が軍需産業や避妊用具の会社を経営して資産を得、独立国家という隠れ蓑を盾に不正取引によって増えた不明瞭な資産の一部が、破門対象でもあるメーソンの資金、あるいは南米の軍事政権へ援助される。1978年、急死したパウロ六世に代わり、アルビーノ・ルチアーニ枢機卿が教皇に即位した。全く予想されていなかった微笑の教皇の選出だったが、僅か33日という短さでその任期を終え、その死因や死の状況も曖昧なまま短期間のうちに次の教皇選挙が始められてゆく。
先日読んだ『バチカン・ミステリー』で急死の状況などについては重要な点が大分反駁されているので、どの程度正しいのかは怪しい点もありますが、本書の場合は金を原因とした陰謀説に立ち、事件以前の不明確な資金の流れと状況証拠の追求が中心となる。邦訳はこの二冊くらいなのかな・。
関連では以下も参考。いずれも入手不可。
『誰が頭取を殺したか P2スキャンダルと法王庁』
『聖域 バチカン銀行 陰の金融帝国』
カルヴィ暗殺事件については、10月に公判が始まっていた筈。
本書ではヨハネ・パウロ一世の改革案を無に帰したヨハネ・パウロ二世の無為が批判の対象にもなっていますが、教皇死後その辺の陰謀追及も出てくるでしょうかね?
関係ないですが、この本は古書で買ったところ、頁への書き込みが多数。注釈や意見なら甘受するところですが、書いてあるのは単語への傍線と、不適切な翻訳への修正のみ。気になるところに傍線をつけるのも読み方の一つではありますけどね…。
(bk1)
(即位から33日目の教皇ヨハネパワロ一世が急死した。その死を望んだのは?執拗な取材で陰謀の実在を立証してゆく。息をもつかぬサスペンス・ノンフィクション。)
多額の献金を集めるバチカン資産が軍需産業や避妊用具の会社を経営して資産を得、独立国家という隠れ蓑を盾に不正取引によって増えた不明瞭な資産の一部が、破門対象でもあるメーソンの資金、あるいは南米の軍事政権へ援助される。1978年、急死したパウロ六世に代わり、アルビーノ・ルチアーニ枢機卿が教皇に即位した。全く予想されていなかった微笑の教皇の選出だったが、僅か33日という短さでその任期を終え、その死因や死の状況も曖昧なまま短期間のうちに次の教皇選挙が始められてゆく。
先日読んだ『バチカン・ミステリー』で急死の状況などについては重要な点が大分反駁されているので、どの程度正しいのかは怪しい点もありますが、本書の場合は金を原因とした陰謀説に立ち、事件以前の不明確な資金の流れと状況証拠の追求が中心となる。邦訳はこの二冊くらいなのかな・。
関連では以下も参考。いずれも入手不可。
『誰が頭取を殺したか P2スキャンダルと法王庁』
『聖域 バチカン銀行 陰の金融帝国』
カルヴィ暗殺事件については、10月に公判が始まっていた筈。
本書ではヨハネ・パウロ一世の改革案を無に帰したヨハネ・パウロ二世の無為が批判の対象にもなっていますが、教皇死後その辺の陰謀追及も出てくるでしょうかね?
関係ないですが、この本は古書で買ったところ、頁への書き込みが多数。注釈や意見なら甘受するところですが、書いてあるのは単語への傍線と、不適切な翻訳への修正のみ。気になるところに傍線をつけるのも読み方の一つではありますけどね…。
(bk1)2007,04,30, Monday
2007,04,30, Monday
ジャン・ラスパイユ:著/殿原民部:訳/東洋書林
(カトリック教会の分裂が終った15世紀初頭。しかし、その後何百年にもわたって対立教皇の遺志を継ぐ一団の者達があった。中世にさかのぼる論争を掘り起こし、教皇庁の歴史に迫るフィクション。
1417年、アヴィニョンの最後の対立教皇ベネディクトゥス十三世を退位させたコンスタンツ公会議以来ローマ教皇の権威は揺るいだためしはない。カトリック教会を引き裂いた大分裂はもうとっくに忘れ去られ、争いは止み、事件は落着している。しかし、1994年……
著者は中世にさかのぼる論争を掘りおこし、たくみな筋立てと構成で読者を教皇庁の歴史の確信へと誘い込んでいく。)
フィクションと書いてありますが、後書きに「実際におこったことである」と書かれているので、小説のような形態をとったノンフィクションになるのかな。構成は教会大分裂以降の対立教皇を受け継ぐ最後の教皇ブノワ(ベネディクトゥス)の旅程と、分裂当時の歴史が交互に描かれていく伝奇小説風。題材は非常に興味深いんですが、小説としても歴史検証としても曖昧になっているのが少々残念。とはいえ伝奇や埋もれた歴史が好きなら是非。
ついでにソフトカバーじゃなくてハードカバー。

(カトリック教会の分裂が終った15世紀初頭。しかし、その後何百年にもわたって対立教皇の遺志を継ぐ一団の者達があった。中世にさかのぼる論争を掘り起こし、教皇庁の歴史に迫るフィクション。
1417年、アヴィニョンの最後の対立教皇ベネディクトゥス十三世を退位させたコンスタンツ公会議以来ローマ教皇の権威は揺るいだためしはない。カトリック教会を引き裂いた大分裂はもうとっくに忘れ去られ、争いは止み、事件は落着している。しかし、1994年……
著者は中世にさかのぼる論争を掘りおこし、たくみな筋立てと構成で読者を教皇庁の歴史の確信へと誘い込んでいく。)
フィクションと書いてありますが、後書きに「実際におこったことである」と書かれているので、小説のような形態をとったノンフィクションになるのかな。構成は教会大分裂以降の対立教皇を受け継ぐ最後の教皇ブノワ(ベネディクトゥス)の旅程と、分裂当時の歴史が交互に描かれていく伝奇小説風。題材は非常に興味深いんですが、小説としても歴史検証としても曖昧になっているのが少々残念。とはいえ伝奇や埋もれた歴史が好きなら是非。
ついでにソフトカバーじゃなくてハードカバー。
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2007,04,30, Monday
2007,04,29, Sunday
ラリー・ガーウィン:著/新潮文庫
(1982年6月、ロンドンで、イタリア最大手銀行頭取の首吊り死体が発見された。彼の死によって銀行の経営は危機に瀕し、ヨーロッパ政財界は未曾有の金融スキャンダルに直面した。事件の背後には政治家、マフィア、フリーメーソン系秘密結社などの影がちらつき、疑惑はついにヴァチカンの重要人物にまで及ぶ。銀行家変死の原因とスキャンダルの真相を執拗に追ったノンフィクション。)
原題はCALVI AFFAIR(カルヴィ事件)。『聖域』では日経が出していたせいか、金額や構造への注目が主でしたが、この本は原題が示す通り、イタリアのアンブロジアーノ銀行グループの頭取ロベルト・カルヴィの出世から自殺(?)まで彼の人生が主。原著には注釈なども大分ついていたようなのですが、文庫出版で全て省かれてしまっているのは残念。
この本からでは巨大金融帝国を創り上げた銀行家という姿は見え難い。見えるのはより大きな力似絡め取られ、みずから築いた脆弱な足場故に転落して行く男の姿。地味な男に対する比較的同情的な記述。
関連は以下。下二つは主にヨハネ・パウロ一世の暗殺疑惑に関するものですが、スキャンダルの関係者が主要な容疑者として登場。一応リンクは張ってありますが、『バチカン・ミステリー』以外はいずれも事件から数年1985年頃の出版。全て基本的に手に入れるなら古書になる。
『聖域 バチカン銀行 陰の金融帝国』
『法王暗殺』
『バチカン・ミステリー』


(1982年6月、ロンドンで、イタリア最大手銀行頭取の首吊り死体が発見された。彼の死によって銀行の経営は危機に瀕し、ヨーロッパ政財界は未曾有の金融スキャンダルに直面した。事件の背後には政治家、マフィア、フリーメーソン系秘密結社などの影がちらつき、疑惑はついにヴァチカンの重要人物にまで及ぶ。銀行家変死の原因とスキャンダルの真相を執拗に追ったノンフィクション。)
原題はCALVI AFFAIR(カルヴィ事件)。『聖域』では日経が出していたせいか、金額や構造への注目が主でしたが、この本は原題が示す通り、イタリアのアンブロジアーノ銀行グループの頭取ロベルト・カルヴィの出世から自殺(?)まで彼の人生が主。原著には注釈なども大分ついていたようなのですが、文庫出版で全て省かれてしまっているのは残念。
この本からでは巨大金融帝国を創り上げた銀行家という姿は見え難い。見えるのはより大きな力似絡め取られ、みずから築いた脆弱な足場故に転落して行く男の姿。地味な男に対する比較的同情的な記述。
関連は以下。下二つは主にヨハネ・パウロ一世の暗殺疑惑に関するものですが、スキャンダルの関係者が主要な容疑者として登場。一応リンクは張ってありますが、『バチカン・ミステリー』以外はいずれも事件から数年1985年頃の出版。全て基本的に手に入れるなら古書になる。
『聖域 バチカン銀行 陰の金融帝国』
『法王暗殺』
『バチカン・ミステリー』
2007,04,29, Sunday
小川原通:著/けやき出版
(ヴァチカンの権威の源泉である天国の鍵(クラーベ)、これをマタイ福音書に挿入したのは誰か? 古事記偽書説と対比して、史上初の謎解きを展開。「聖書神話」と「記紀神話」に関する常識へ挑戦する。)
読むまでは、トンデモか内容の無い駄文かとも思ってましたが(何で買ったんだ?)、内容はローマ教会が権力を握ることとなった経緯を巡る謎解きエッセイ。一有力教会でしかなかったローマが、最高権力を手に入れた背景に、聖書中の天国の鍵と万人への布教を命じた記述を挿入した新たな聖書定本の作成があったとする。そして突然、ヒミコの正体や、古事記における神話の改変が皇統起源の強化に使われていたのではないかという、極東の古代史にまで話は飛ぶ。
エッセイなので、根拠や参考文献は殆ど示されず(基本手持ちの辞典類が参考らしい)、仮説についても私見という形を取るが、仮説としてはどれも自然で興味深い。話が極東と地中海に飛ぶので、その辺多少古代史の知識があれば普通に楽しめるのではないかと。
個人的に日本史も探そうとしていたこともあって、期待してなかった割に思わぬ収穫だった。
ちなみに、この著者も大手製鉄会社を退職後、独自に研究を行っている人物とのこと。
浅川氏といい、『消えたシュメール王朝と古代日本の謎』の岩田氏といい、ある種楽しみではある。

(ヴァチカンの権威の源泉である天国の鍵(クラーベ)、これをマタイ福音書に挿入したのは誰か? 古事記偽書説と対比して、史上初の謎解きを展開。「聖書神話」と「記紀神話」に関する常識へ挑戦する。)
読むまでは、トンデモか内容の無い駄文かとも思ってましたが(何で買ったんだ?)、内容はローマ教会が権力を握ることとなった経緯を巡る謎解きエッセイ。一有力教会でしかなかったローマが、最高権力を手に入れた背景に、聖書中の天国の鍵と万人への布教を命じた記述を挿入した新たな聖書定本の作成があったとする。そして突然、ヒミコの正体や、古事記における神話の改変が皇統起源の強化に使われていたのではないかという、極東の古代史にまで話は飛ぶ。
エッセイなので、根拠や参考文献は殆ど示されず(基本手持ちの辞典類が参考らしい)、仮説についても私見という形を取るが、仮説としてはどれも自然で興味深い。話が極東と地中海に飛ぶので、その辺多少古代史の知識があれば普通に楽しめるのではないかと。
個人的に日本史も探そうとしていたこともあって、期待してなかった割に思わぬ収穫だった。
ちなみに、この著者も大手製鉄会社を退職後、独自に研究を行っている人物とのこと。
浅川氏といい、『消えたシュメール王朝と古代日本の謎』の岩田氏といい、ある種楽しみではある。
2007,04,13, Friday
大澤武男:著/文春文庫
(地上におけるキリストの代理者、使途の頭ペトロの後継者として、全世界のカトリック教徒から崇敬を集めるローマ教皇。だが第二次世界大戦中、モラルの体現者ともいうべき教皇は、人類史上未曾有の犯罪であるナチスのユダヤ人虐殺を知りながら止めようとはしなかった。当時の教皇ピウス十二世――エウジェニオ・パチェリは、なぜ“沈黙”してしまったのか。その理由を、彼の人生だけでなく、ヨーロッパ文化の基層にまで遡って探る。)
「なんで知ってるかって顔だね。手助けしたのさ我々(ヴァチカン)が 強力にね」の頃の聖下。隣人愛を標榜しながらナチスに対して沈黙を続けた教皇の人生。謎は深まるばかり。新書なので気軽に。このピオ12世、ヨハネ23世、ヨハネ・パウロ2世の辺りは興味を引かれる所。

(地上におけるキリストの代理者、使途の頭ペトロの後継者として、全世界のカトリック教徒から崇敬を集めるローマ教皇。だが第二次世界大戦中、モラルの体現者ともいうべき教皇は、人類史上未曾有の犯罪であるナチスのユダヤ人虐殺を知りながら止めようとはしなかった。当時の教皇ピウス十二世――エウジェニオ・パチェリは、なぜ“沈黙”してしまったのか。その理由を、彼の人生だけでなく、ヨーロッパ文化の基層にまで遡って探る。)
「なんで知ってるかって顔だね。手助けしたのさ我々(ヴァチカン)が 強力にね」の頃の聖下。隣人愛を標榜しながらナチスに対して沈黙を続けた教皇の人生。謎は深まるばかり。新書なので気軽に。このピオ12世、ヨハネ23世、ヨハネ・パウロ2世の辺りは興味を引かれる所。
2007,04,12, Thursday
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